2020年11月17日
トリーター:加登岡

明と暗

魚類の担当になってから、日々の業務はもちろんのこと、江の島の生物調査をおこなったり、生物の採取に出かけたりとさまざまな経験を積ませてもらいました。全てが一からになるため、大変ですが、その分新しいことを学べて新鮮な気持ちで過ごしております。

その中で、最近調べているのが無脊椎動物です。幼少期から魚は好きでしたが、無脊椎動物についてはさほど興味を持っていませんでした。
しかし、今は無脊椎動物を追いかけています。
無脊椎動物は私たち哺乳類と異なり、名前の通り脊椎を持たない生物です。ナマコやヒトデ、イソギンチャクやサンゴなどが該当します。そしてエビやカニ、タコなども無脊椎動物の仲間です。
思い出してみれば、私が魚類担当になって、水槽の新展示を任されたときに最初に手に入れたのも無脊椎動物でした。その後、ホームページの新着生物でも「カワテブクロ」や「アラビアハタゴイソギンチャク」、「シタザラクサビライシ」に「キュウリイシ」を紹介しました。

水槽のレイアウトを作るときに、その生物の生息する環境を再現しようと思うと、どうしても魚だけでは作ることができません。作り物の擬岩や擬サンゴなどを使用して、レイアウトすることもあるのですが、できれば本物を、と思うとどうしても外せないのが無脊椎動物たちです。しかし、この無脊椎動物たちは魚よりも飼育が難しいことが多いです。

特に無脊椎動物の中でも私が調べているのが、六放サンゴ、八放サンゴと呼ばれる種類です。
簡単な言い方をするとサンゴの仲間たちです。
水質にうるさかったり、光が必要だったり、餌が必要だったりといろいろな条件があります。
「太平洋」の暖かい海のゾーンではカクレクマノミのいる水槽とチンアナゴのいる水槽があります。カクレクマノミの水槽は明るい光が必要なサンゴ仲間のキュウリイシやイソギンチャクモドキを。一方のチンアナゴの水槽には光は必要なく、給餌が必要なやや深い場所や暗い場所にいるサンゴの仲間のヤギやイソバナ類を展示しています。

そして、私のおすすめは最近展示し始めた「ナンヨウキサンゴ」です。こちらはチンアナゴのいる水槽にいます。


ナンヨウキサンゴ

相模湾ゾーン海岸水槽の逗子沖サンゴの水槽でもキサンゴの仲間は展示していますが、そっちのキサンゴとは色がだいぶ異なり暗い緑色をしているんです。当館では初めて展示しますのでこの機会にご覧ください。


逗子沖サンゴに展示しているオオエダキサンゴ

まだまだ奥が深い無脊椎動物について、もっと調べてみなさまにお伝えできるようになりたいと野望を抱き、日々勉強しております。

太平洋

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