2020年12月27日
トリーター:戸倉

奇跡の復活!

チンアナゴの水槽に1匹だけいる「シモフリタナバタウオ」ですが、実は昨年(2019年)のテーマ水槽で、私が7月に「七夕」のタイトルで展示した個体なのです。
でもこのシモフリタナバタウオは“ハナビラウツボに擬態し、他の魚を威嚇する。”と聞いていたので、今までずーっと単独飼育(ほかの魚との混泳をさせないで 1つの水槽に 1匹で飼育すること)をして、展示水槽に出せないままでいましたが・・・

今年の4月6日から謎の病気にかかり、尾ビレが溶けるように無くなり、摂餌も悪くなりました。


4月9日 尾が溶け始める。


5月5日 症状の進行が止まり、膜が伸び始める。

病気が出始めてから4日間、集中的に薬剤の塗布と薬浴を繰り返し、摂餌もやや上向きに・・・
最終的には尾がほとんど無くなるところまで症状が悪化しましたが、途中から摂餌による栄養強化と自己治癒力を信じ、ようすを見続けたところ、5月になってから徐々にヒレが回復してきました。


6月24日の状況 他のヒレより長く後ろに延びてきた。

この段階で、1匹で小さな水槽に入れておくよりも、もっと大きな展示水槽に出した方がさまざまな刺激があって、本人(魚)も楽しいのでは?
それと、尾ビレがまだ小さいので、ハナビラウツボには見えないし、他の魚も逃げないのでは?
ということで、あのチンアナゴのいる水槽に出しました。
案の定、隠れ家のたくさんある岩の陰にススゥーっと吸い込まれるように入っていき、その後、しばらく姿を見ることができませんでしたが、水槽のレイアウトを大きく変更したこともあり、今では普通に姿を見ることができるようになりました。

みなさんもぜひ、この“奇跡の復活”を遂げたシモフリタナバタウオを見に来てくださいね。

太平洋

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