2021年01月03日
トリーター:加登岡

キンメモドキ展示への道

あけましておめでとうございます。
本年もみなさま よろしくお願い申しあげます。

キンメモドキの展示を開始してから1か月が経ちました。
順調に飼育できており、一安心です。
最近ではトゲトサカの1種も展示し始め、暗い水槽が色とりどりになってきました。

前回のトリーター日誌でキンメモドキ展示に向けて苦労したと書きましたが、今回はその苦労話をお話します。

展示まで1か月程バックヤードで飼育をしていましたが、その間に病気が発生してしまいました。
病気というよりも寄生虫です。
顕微鏡で見なければわからないのですが、死んでしまったキンメモドキの鰓から何やら動く生物が見つかりました。


病名はダクチロギルス症。
ダクチロギルスという単生虫には数多く種類がいるようですが、その1種が鰓に付いてしまったようです。
魚にとって鰓は呼吸をするための大事な器官です。こんなのが付いていたらたまったものではないでしょう。

ダクチロギルスを除去するために2つの方法をとりました。
1つ目は淡水浴です。浸透圧により、体内に水が大量に入ることでダクチロギルスを死滅させます。
2つ目はホルマリン浴です。この2パターンで対処をしました。

まず、初めに行ったのが淡水浴です。
鰓からサンプリングしたダクチロギルスを顕微鏡で観察しながら淡水をかけた時に、みるみる動かなくなりました。そのため、この方法が効くと思い実施したのです。
しかし、翌日も死んでしまう個体がいました。その個体の鰓を確認してみるとやはりダクチロギルスが見られます。
しかも動いている・・・
さらには卵らしきものも・・・


淡水浴の時間が短く、ダクチロギルスに浸透しきらなかったのかもしれません。
淡水浴は魚にも負担をかけるため長い時間の実施ができませんでした。
そのため、次に行ったのがホルマリン浴です。これを3回行いました。
するとこれが功を奏したのか、キンメモドキの調子が戻ってきました。
残念ながら体力が落ちてしまい、死んでしまった魚もいますが、その魚の鰓を見てもダクチロギルスは見られなくなりました。

肉眼で確認することはできない敵との闘いでしたが、キンメモドキたちが頑張ってくれたので、群れの展示をお見せすることができています。
ぜひ、キンメモドキをご覧ください。

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