2021年03月28日
トリーター:今井

初の深海底曳き網船に乗って来ました!

~展示生物のご紹介~

今年3月、深海班になって3年目、ようやく深海底曳網の乗船採集の機会をいただきました。
伊豆半島の戸田港から出船し、おもに水深 200~400mの海底を漁場にして、1日に 5~6回 網を曳きます。
午前 3時に出航!
今日は少し遠出するので、数時間ほど船内で待機との指示。
実は、ここから結構しんどかったです!


足と長靴が写っています。
エンジンルーム横の工具室で、頭が閊えて背中を折り曲げて漁場まで待つのですが、寒かろうと厚く着込んだ服装とマスクであるのにも関わらず生暖かい環境で、不自由な体制、濃い排気ガスと振動、うねりの揺れによって、吐き気に悩まされること3時間、因みに船にトイレはありません。
この日は、朝 3時から夕方 4時半まで、ずっと船に乗っていましたよ、、、(‘’◇’’)ゞ


水揚げされた場面は、本当にワクワクします!!
水槽に展示できたら、ガラスに張り付いて観察したくなるような生き物たちが、甲板にザッと広げられます!
生存の可能性のある状態のものを見つけ出し、急いで船上のトリートメントタンクに収容して回復を待ちます。
以前なら、「これは強いが、それは弱いから止めよう。」とか言いながら、持ち帰る生物を選別していたかも知れません。
しかし、止まない吐き気のせいか、「どれも深海の過酷な環境をものともせず生きてきた強者たちなんだ!」、それらが甲板で息絶えるなんて、「想像を絶する状態なんだな!」と、言葉では当たり前のことですが、胸を突いて思いました。


この日は時化で、鍋無し!”(-“”-)”
過去の写真をご覧ください!
私たちは漁獲対象以外の生き物が獲れてしまったら、いただいて展示するという仕事ですが、深海底曳網漁を利用していることに変わりありません。
また、私たちが乗船しなくても市場価値の無いメンダコや小型アンコウ類、さまざまな底生生物が入ります。
そこで、漁師さんたちは自分たちでできることとして、「深海味噌汁」なる鍋を操業中の船上で食します。これはできるだけ資源を無駄にしないようにと、新たな食材を見つける漁師さんなりの研究です。
少なからず、私たちトリーターも、例えばどのようにしたらメンダコが獲れるかを分析しながら、逆に漁師さんの網に入らないように工夫もできれば良いなと思っています。


オキナエビ

さて、今回無事に展示に至り、目立っております生物はオキナエビ、オオコシオリエビ、ミノエビ等、比較的メジャーなエビ類が主ですが、強者たちです!

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