2021年04月07日
トリーター:笠川

時を経て

4月6日(火)より、ナデシコクラゲ(仮称)の展示がスタートしました。
詳しくは [新着生物] をご覧ください。
ここでは、少し裏話といいますか、思い出話をさせてください。

2012年の 3月、私もその船に乗船していました。
クラゲ担当になったばかりといいますか 飼育員になったばかりの頃で、人生において初めての航海がこの JAMSTECの航海でした。
クラゲ調査の潜航がある航海はあまりなく、本当に本当に貴重な機会をいただきました。
あの頃は必死に先輩トリーターについて作業するのがやっとで、いろいろと考える余裕はありませんでした。ただ、何をするにも新鮮で、毎日興奮していました。
最初の 2~3日間くらいはひと作業即嘔吐みたいな状態でしたが、慣れるものです。海の上ではどこにも逃げられませんので。とても懐かしいです。
まさかその 9年後に、そのときの調査で得られた深海底ごみのポリプからクラゲが遊離して、このような展示に繋がるとは誰も思っていなかったでしょう。
私もそのときは、北里大の学生さんが一生懸命ごみを集めているなくらいの認識で、説明してもらっていることを理解するのに必死でした。
ポリプってすごいですよね。クラゲは寿命がきてしまいますが、ポリプならこういうことが起こるんですから。10年飼育員を続けるといろいろなことが起こるものですね。
さらに偶然的なことに、このポリプがついていた空き缶の賞味期限、なんと私が生まれた年です。何かご縁を感じてしまいます。
ナデシコという名前もとても素敵だと思います。みなさん、クラゲの口元に注目です。ここがナデシコです。


ナデシコクラゲは低温飼育なので温度キープが大変ですが、なるべく長く展示が続けられるように努めます。
みなさんもこのクラゲを見ながら、10年前の震災時そしてその後と思いをめぐらせてみてください。10年間いろいろなことがありましたね。

皇室ご一家の生物学ご研究

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