2023年03月11日
トリーター:今井

真っ黒水槽の舞台裏

深海Ⅱの展示水槽では、深海の漆黒の闇を表現するべく、超低反射の背景板を使用しています。しかし、そろそろ傷みが目立って来ましたので貼り替えを予定しています。
当館では初めての作業なので、まずは小さな水槽で素材貼り替えの練習をしてみました。

従来の背景板となっている黒い塩ビ板は、素材となる植毛布の基盤となります。
弓なりに曲げてコーナーを無くしています。

反射率の高い塩ビ板反射率の高い塩ビ板

張り付けた植毛布は正面から見るほど反射が無くなるので、展示では奥行きがあるように感じられます。

超低反射の植毛布を張り付けました。超低反射の植毛布を張り付けました。

どれだけ真っ黒いのか、水をかけてお日さまの下で見比べてみました。

上が植毛布、下が塩ビ板上が植毛布、下が塩ビ板

実はこの水槽、深海Ⅰの化学合成生態系をイメージした水槽として展示しているものです。
ちなみに、その上の水槽は、光合成生態系を再現した水草水槽ですが、こちらも同様に奥行きが20センチ以下なので、広く感じられるような工夫が施されています。
よくご覧いただきますと、何となく逆光気味に感じられると思いますが、こちらは背景板をLEDで光らせています。


私は写真が趣味ではありませんが、植毛布も、光る背景板も、写真撮影に長けた方ですと周知のものかと思います。
「どんなふうに展示すると、生き物などの魅力がお客さまに伝わるだろうか?」と、
水槽を額縁に例えて展示を考えると、いろいろなアイディアが浮かんでくるのですが、私たちトリーターは展示されている生き物の気持ちも十分考慮できなければ、見ていて楽しい展示にはなりません。

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