2023年11月01日
トリーター:園山

福がいっぱい!? フグの話 8

フグの仲間の棘(とげ)といったら何を思い浮かべるでしょうか。
全身とげとげになるハリセンボンなど思い浮かべる方が多いかもしれませんね。“えのすい”ではハリセンボンとハリセンボンの仲間のイシガキフグを展示しており、両種とも全身に棘(とげ)とがあります。

前々回のトリーター日誌で、オキナワフグの体表には棘(とげ)とがあるという話をしました。今回は約束通り、フグの棘(とげ)との話をしましょう。

フグ科と呼ばれている魚は、トラフグ、クサフグ、ショウサイフグ、アマミホシゾラフグなどに代表される仲間で、ハリセンボン同様、水を吸って腹部を膨らませます。
水槽を泳いでいるフグを見ても、とても棘(とげ)とがあるように見えないですよね。

このとげが出てくるのは、まさに膨らんだとき!
釣り人の方であれば、釣り上げたフグが膨らんだ際に、小さな棘(とげ)とがあるのを目にした方もおられるのではないでしょうか。なかなか見にくい棘(とげ)なので、クサフグの標本を染色してみました。

↑ 背面から見たときの画像です。ちょっと青く染まり過ぎていますが、そこは見なかったことに。注目すべきは背面に拡がる粒々のように見える棘(とげ)です。

↑ 次は腹面。こっちの方が見やすいですね。
右側が口、左が尾ですが、基本的に尾に向かって生えていますね。

↑ これが棘(とげ)を顕微鏡で見た画像です。
よく見ると、棘(とげ)の根元がいくつかに枝分かれしています。画像の左側では、根本が四方向に放射状に伸びていますね。
この棘(とげ)の根元の形状は、フグの仲間によって違っているとされていて、トラフグ、コモンフグなどのトラフグ属と呼ばれているフグの仲間では、多くの棘(とげ)の根元が星形もしくは放射状になるという特徴があります。クサフグもこのトラフグ属なので、同じ特徴があります。

ただし、すべてのフグにその特徴が当てはまる訳ではありません。ヒガンフグ、アカメフグは棘(とげ)が無く、表面にはいぼ状の突起があります。ショウサイフグ、マフグ、ナシフグには、棘(とげ)もいぼ状の突起もありません。そのため、種判別をする際に、その小さい棘(とげ)を判断材料にも使えます。

冒頭でハリセンボンの話をしましたが、もはやこすりたおされたネタですが、ハリセンボンは漢字で書くと「針千本」ですが、実際には約350本などといわれています。

では、このクサフグは何本あるでしょうね。
なんかハリセンボンよりも多そうな気もしますね。ということでちょっと数えてきますね。結果はまたトリーター日誌でご報告します。お楽しみに!


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