2024年04月13日
トリーター:笠川

例外ばかり

カブトヘンクラゲカブトヘンクラゲ

4月1日より、クラゲサイエンスにて、カブトヘンゲクラゲというちょっと変わったえのすい初展示のクラゲがお目見えしています。

カブトクラゲやヘンゲクラゲなどと同じ有櫛動物の仲間のクラゲで、その中でも、コトクラゲやソコキリコクラゲムシなどのように底生生活を送るクラゲになります。
みなさんが、クラゲといってイメージする、毒があって、水中をぷかぷか浮遊するものではありません。毒は持たず、たまにぷかぷかっと浮遊しますが、ほとんど底にいるクラゲです。これもクラゲって思うクラゲですね。

体が透明なので、砂地の上にいたら、海の中ではなかなか見つけられないと思います。難易度大です。しかし、実は東京湾などにもおり、決して限られたところにしかいないものでもありません。
それでも、私も実物に出会ったのは初めてです。展示している個体は、奄美大島の海で、現在クラゲサイエンスで展示しているソコキリコクラゲムシと同じ場所にいたカブトヘンゲクラゲです。
ソコキリコクラゲムシは、有櫛動物の特徴でもある櫛板が成長すると無くなってしまう種類ですが、カブトヘンゲクラゲは、櫛板があります。櫛板に光が反射するときらきらと輝いて見え、その姿からまるでUFOのようです。小さく透明なUFOですが、実に神秘的です。展示では少しわかりにくいですが、このクラゲの特徴でもある、Cの字のような 4つの生殖巣も繊細な感じで魅力的な部分です。
自分の知らないもの、知らないことに出会うとわくわくしてきますよね。
みなさん、ぷかぷかと浮遊しているものだけがクラゲではないんですよ。

つい先日、新しく入ったアルバイトスタッフの子に、クラゲの話をしながら、換水作業の説明をしていました。
クラゲの状態を見るとき、拍動をみて、元気かどうか見るよ、死んでしまうと拍動も止まるよね、みたいな話をしていたら、「このクラゲ、全部動いていません!」とアルバイトの子が、、、ごめんね。私の言葉が足りなかったね。このクラゲは死んではいないよ。というやりとりがありました。
死んでしまったと思われていたクラゲは、コモチカギノテクラゲでした。
普段、海そうなどにくっついていることが多いので、ずっとぷかぷかと浮いているわけではありません。そのときもビーカーの底にくっついていました。優しくスポイトでふいたら、ぽっぽっと動き出したので、アルバイトさんも納得。

クラゲは本当に多種多様なものが多く、例外ばかりです。説明していると、このクラゲはこうだけど、実はこんなクラゲもいてという感じで脱線してばかりです。そういうところを面白いと思えると、クラゲ沼にどんどんハマっていきます。
春になり、海で見られるクラゲも種類が増え、これから夏、秋とどんどんいろいろなクラゲが見られる一年になるといいなと思うきょうこの頃です。

クラゲサイエンス

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