沖縄県で採集された立方クラゲCarybdea sivickisi とエフィラクラゲの1種Naushitoe sp. の生活史

2007年02月
第51回 日本動物園水族館協会 水族館技術者研究会
三宅 裕志 ・ 岩永 節子 ・ 岩尾 研二 ・ 足立 文 ・ 植田 育男 ・ 北田 貢 ・ 小谷野 有加 ・ 島津 恒雄



沖縄県で採集された立方クラゲCarybdea sivickisi
エフィラクラゲの1種Naushitoe sp. の生活史

三宅 裕志(1), 岩永 節子(2), 岩尾 研二(3), 足立 文(1), 植田 育男(1), 北田 貢(1), 小谷野 有加(1), 島津 恒雄(1)
 (1) 新江ノ島水族館
 (2) 沖縄県衛生環境研究所
 (3) 阿嘉島臨海研究所

 立方クラゲの一種C.sivickisi とエフィラクラゲの1種Naushitoe sp.のポリプを確保し,クラゲを遊離させ,展示の可能性が見えたので報告する.
 両種は沖縄県本島で毎年5月末から8月にみられるクラゲである.卵は両種ともにゼリー状物質に包まれており,そのゼリーには刺胞が散在していた.両種ともに翌日にはプラヌラになり遊泳した.
 C.sivickisi では,1次ポリプは無性生殖を行い,定着場所が藻類で覆われたり,排泄物で汚れたりすると移動体となり底質を這い,適当な場所で2次ポリプへと変態した.柱体から出芽したポリプは移動体となり,底質を這って別の場所に移動しそこで定着ポリプとなり,無性生殖を繰り返した.2次ポリプは5℃の水温上昇刺激を与えると約1週間でクラゲに変態した.成体クラゲの傘頂部に付着器があるが,遊離直後のクラゲにもみられた.
 エフィラクラゲの1種では,プラヌラ着生後,平たくつぶれたようになり,そこから煙突状にキチン質の棲管が伸び,棲管の口から触手を伸ばした.棲管の成長は必ず鉛直方向上側に向かった.十分に成長したポリプに5℃の水温上昇刺激をあたえると翌日には棲管内でストロビーレーションして, エフィラを遊離させた.


2008年1月 動物園水族館雑誌 48(4) P146 掲載
著作権:社団法人日本動物園水族館協会
2008年12月,動物園水族館雑誌編集委員会より転載許可

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