相模湾の汽水域で確認されたカニ類 -特に北限産出となる希少種の記録について-

2018年08月
Cancer 27 P17-27 (日本甲殻類学会)
伊藤 寿茂 ・ 勝呂 尚之



相模湾の汽水域で確認されたカニ類
-特に北限産出となる希少種の記録について-

伊藤 寿茂(1) ・ 勝呂 尚之(2)
 (1) 新江ノ島水族館
 (2) 神奈川県水産技術センター内水面試験場

相模湾は生物の宝庫と言われ,多くの生物種が記録されている(藤田・並河,2007).十脚類については,湾内とその周辺海域から計870種以上が記録されており(駒井ら,007),淡水棲や汽水棲の種の記録も増加が続いている(一寸木,2002;田中ら,2004;伊藤,2007;小宅・藤川,2009a, 2009b;伊藤・根本,2012;丸山,2012;北野・寺田,2015;丸山,2015a,2015b;横岡ら,2015;岸ら,2016;伊藤,2017;丸山,2017;伊藤・島津,2018).
著者らが2015年から2018年にかけて相模湾の流入河川の下流域や,河口に形成される汽水域でカニ類相を調査した結果,北限記録や相模湾初記録となる分布上稀有な種(以下,希少種と表記)を複数確認した.他の確認種と併せてその生息状況を報告するとともに,標本に基づく希少種の形態的特徴,既知の分布域との関係について記す.

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