2015年03月06日
トリーター:加登岡

二つの姿勢・・・パート 2

バンドウイルカ「ルイ」バンドウイルカ「ルイ」

前回の日誌で『二つの姿勢』についてお話ししました。
[ 2015/ 02/ 28 二つの姿勢 ]

今回はこの姿勢についての発展したお話です。
おさらいですが、お腹をトリーターの方に向けている通常の『ステイション』と、背中をトリーターの方に向けている『前向きステイション』の二つの姿勢のときにさまざまな合図を出しています。この二つの姿勢はトリーターに対するイルカの向きは変わっていますが、さまざまな種目の合図はどちらの向きでも変わりません。そして行う種目も変わりません。
例えば、コマのようにくるくる回転するスピンジャンプ。合図は『右手を 1回転回す。』です。

通常のステイションの場合
ステイション状態→右手を 1回転回す→スピンジャンプを飛ぶ→トリーターの元に通常のステイションで戻ってくる
と、なります。

次に前向きステイションの場合
前向きステイションの状態→右手を 1回転回す→スピンジャンプを飛ぶ→トリーターの元に前向きのステイションに戻ってくる。
と、合図とおこなう種目は通常のステイションの場合と変わりません。変わるのは戻ってくるときの姿勢のみです。
多くの種目はこのように合図を出される姿勢は違えども、おこなう種目は変わらないのです。

ここからが発展系!!
合図は一緒なのに合図を見る姿勢が違うだけで、違う種目をしなければならない場合があるのです。
例えば『両掌を合わせ、腕を伸ばし動物に向けて、右手のみ 45°開く』という合図があります。

通常のステイションの場合
通常のステイション→両掌を合わせ、腕を伸ばし動物に向けて、右手のみ 45°開く→反時計周りに背中を上にして勢いよくプールを泳ぐ(種目名:スピードラン)→トリーターの元に通常のステイションで戻る
と、なります。しかし、前向きステイションのときにこの合図を出すと違う動きになります。

前向きステイションの場合
前向きステイション→両掌を合わせ、腕を伸ばし動物に向けて、右手のみ 45°開く→反時計周りにお腹を上にして勢いよくプールを泳ぐ(種目名:スピードバック)→トリーターの元に前向きステイションで戻る
と、なるのです。
このように合図が一緒なのに違う動きをしなくてはならないため、複雑化しています。

前回も出てきました私が担当している「ルイ」。
初めて前向きの状態で『両掌を合わせ、腕を伸ばし動物に向けて、右手のみ 45°開く』の合図を出したときは、自身満々に背中を上にして泳いでいました。これを少しずつお腹が上になるようにトレーニングをしていき、スピードバックができるようにします。
このように合図を出されたときの姿勢がどっちを向いているのか、動物自身が理解することで、同じ合図でも違う動きができるようになります。しかし、「ルイ」もまだときどき混乱してしまうようで、通常のステイションのときに合図を出すと、背中を上にして正解の泳ぎをしていたのに、途中で自信がなくなったのか、プールを半周したらお腹を上にして泳ぎだしました。「ルイ」自身も考えてくれていますが、こちらがいかにわかりやすくアプローチできるかどうかでトレーニングの進歩の度合いが変わってきます。

今後も試行錯誤をしながら「ルイ」とさまざまなことができるように練習をしていきますので、そんな姿を見に遊びに来てください。

イルカショースタジアム

RSS