みなさん、「環境エンリッチメント」という言葉をご存知ですか?
市民ZOOネットワークのホームページによると、環境エンリッチメントとは、「動物福祉の立場から、飼育動物の“幸福な暮らし”を実現するための具体的な方策」とあります。
この具体的な方策として、野生動物本来の行動ができる環境づくりを目指し、飼育する施設を工夫したり、頭脳や五感を刺激するものを与えたり、ということをおこないます。
ちょっとピンとこないかもしれませんね。
実際に動物園でおこなわれている例として、木の上で生活するオランウータンの野生本来の姿を引き出すために高いタワーを建てる、クマの放飼場で餌をいろんなところに隠して運動させ採食時間を増やすというエンリッチメントがあります。
昨日授賞式と講演会が行われたエンリッチメント大賞 2015では、しものせき水族館の「テッポウウオにおける摂餌生態展示」も入賞していました。この展示は、(1)テッポウウオにとって、いつ獲物を得られるかわからない緊張感の中で生活するという刺激 (2)来館者にとって、いつでもテッポウウオの採食風景をみられる環境 (3)飼育者にとって、テッポウウオに良い環境を与えられたうえに来館者にも喜んでもらえたという満足感を得られる、win-winなものです。もちろんここに至るまでには試行錯誤を繰り返し、かなり苦労されたようです。
まるで他の水族館の宣伝のようになってしまいましたが・・・(笑)
“えのすい”でおこなっているエンリッチメントとして、川魚のジャンプ水槽があります。川魚はえさや産卵場所を求めて上流を目指す性質があります。その性質を利用して、水位を変化させることで川魚本来の躍動する姿をお見せする、生態展示の手法を用いているのです。
実は、イルカのプールにおもちゃをいれることや、トレーニングで刺激を与えることも、頭脳や感性を刺激するエンリッチメントのひとつです。
“えのすい”でも、生き物、お客さま、トリーターみんなが楽しめるようなエンリッチメントを増やせるよう、これからも知恵を絞っていきたいと思います。
最近は雪をかぶった富士山がきれいに見え、だんだん冬に近づいているのだなと実感する日々が続いています。
風邪をひかないよう、しっかり防寒してきてくださいね。