2016年07月25日
トリーター:鈴木

何百年の時を超えて!海に現れた武将 展示中

こんにちは鈴木です。
最近、太平洋の北の海の水槽に新たな仲間が入りました。
その名も「アツモリウオ」。いかにも戦国武将のような名前です。
その出で立ちも名前負けはしておりません。
まるで甲冑を身にまとっているような姿で、どことなく、武将の雰囲気をかもし出しています。
漢字では敦盛魚と書きます。やはり武将です・・。

でもそれもそのはず、平安時代( 1184年)に起こった源氏と平家の戦い、いわゆる源平の合戦(一の谷の戦い(現在の神戸市須磨区))に平家の若武将として参加した平敦盛(たいらのあつもり)からこの名前が付けられています。
赤い甲冑をまとったような体と高く伸びた大きな背びれは、まさに、歴史絵にも残る赤い鎧を身にまとい、背中につけた補助防具の母衣(ほろ:当時の戦は騎馬戦が主流であり、後方からの矢を防ぐために兜や鎧の背に巾広の絹布をつけて風で膨らませるもの)が風で膨らんでいるようすの平敦盛そのものです!

実はこの合戦で敦盛は、熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)という源氏側の武将と戦い、命を落とします。その戦いのようすは平家物語(敦盛の最期)にも記され、最も哀切で有名な合戦シーンといわれています。
ここでは詳しくは書きませんが、どんな戦いだったのか、ぜひ調べてみてください。
ちなみに、「アツモリウオ」と近い種類に「クマガイウオ」という名前の魚がいますが、これは正しく敦盛の最期の相手であるこの熊谷次郎直実に由来しています。
この魚たちのネーミング、私が知る魚名の限り最も渋くてかっこいい名前のひとつですね。
名前もさることながら、ここまで聞くといかにも強くて猛々しい魚かと思うかもしれませんが、名前は武将でもとても大人しい魚で、戦どころか小競り合いすら好みません。
また、あまり目立つのも好きではないみたいで、できれば物陰でじっとしているのが好きなようです。
魚は名前によらず・・ですね。

そんな歴史を超えて海に現れた武将は、この度、北海道の市立室蘭水族館から遥々やってきました。
市立室蘭水族館のみなさま、ありがとうございます!
みなさまぜひ海の武将、「アツモリウオ」に、ひとたび會ゐにきて願いたもうぞ!(一目会いに来てください!)

太平洋

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