2016年07月25日
トリーター:伊藤

月光で命輝かすカニたち 2

ウモレベンケイガニウモレベンケイガニ

おとといの日誌に続きまして、紹介してまいります。

ウモレベンケイガニ
私のイチオシです。
その名の通り、泥に埋もれるようにしてひっそりとくらす中型のイワガニ類で、動きは遅く、目が合っても逃げずにその場で動きを止めることがほとんどです。
さらに驚かせたり、手でつかんだりすると、足を延ばし気味で硬直させて突っ伏す「KOされた格闘技選手」みたいなポーズで死んだふりをするなど、行動も変わっています。
ごつごつとした体は茶色一色かと思いきや、綿棒などで拭いてやるとアイボリーに茶色い斑点というチョコチップクッキーのようなオシャレさです。
さっそく相模湾キッズ水槽に展示しました。
隠れっぱなしを心配しましたが、展示ではよく活動しており観察しやすいです。
ぜひご覧ください。
※ウモレベンケイガニの展示は終了しました。

ヒメアシハラガニ
その名の通り、アシハラガニ(こちらは川魚のジャンプ水槽わきで展示継続中です)の仲間で、よく似ています。
関東地方では記録が少ない珍種とされますが、仮に見つけていても「どうせアシハラガニの子どもだろう」とスル―されているのではと想像します。
私もそうでした。
先日の現場で「ヒメだったりして」と思いながら、小型の“アシハラガニ”を手に取り、よく観察してみると、あっさり本種でした。


ヒメアシハラガニ

本種であることを知ったうえで見ると、他種との違いに気付けます。
まず、動きが速いです。アシハラガニよりはるかに早く、クロベンケイガニ以上カクベンケイガニ以下という感じです。
カクベンケイガニが残像を残しながらズザッ、ズザッと短距離ダッシュするのに対し、本種はダダダーと何メートルも長距離ダッシュするのです。
ウモレベンケイガニと一緒に展示しており、こちらも水槽内ではゆったりと活動していますので、その表情や細かい動きまで間近で観察いただけます。

これら 2種とも、日常で目に触れることがまずなく、県や学会によるレッドデータに希少種として載っていたりしますが、「いそうだ」と意識して探すと、案外見つけられることを実感しました。
みなさまの近くの水辺にも、まだ研究者も見つけていない生息地があるかも知れません。
夏の自由研究などで探してみるのも面白いかと思います。
この調子でまだまだ続きます。それでは次回。
※ヒメアシハラガニの展示は終了しました。

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2016/ 07/ 22 月光で命輝かすカニたち

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