「ナイトワンダーアクアリウム 2016 ~月光に漂う水族館~」がスタートして約2ヶ月経ちました。
お待たせしました。満を持して、知名度No. 1の登場です。
アカテガニ
これもベンケイガニの仲間です。満月の大潮時に産卵する日本産のカニとしては、最も良く知られた種類でしょう。名前の通り、赤いハサミがトレードマークですが、同一産地でも色彩変異が大きく、全身オレンジでベンケイガニにそっくりなものや、甲らが濃い緑色のものなども見られます。ちなみに、小さい頃は全身肌色やオレンジ色をしており、別の種類みたいです。
水族館近隣では相模川や三浦半島で見られるほか、なんと江の島にも生息しています。数年前に江の島のカニ相を調査したことがあるのですが、アカテガニは海沿いから崖の上の方まで広い範囲で見られました。淡水はもちろん、土の上や草むらでも活動しており、陸への適応を感じさせる「虫っぽい」カニです。江の島では渓流のイメージがあるサワガニと一緒にいたりして、不思議な調査でした。
[研究発表 神奈川県江の島の陸域および淡水域におけるカニ類の分布]
ちなみに、島の北西岸で産卵行動も確認できています。
相模湾ゾーンで展示しています。飼育自体は難しくないのですが、ややデリケートで、他のカニ類と一緒に飼うと食べられてしまったりするので、家で飼育する時はアカテガニだけで飼ってあげるのがよいでしょう。同様の理由で、アカテガニ水槽でこれまで展示していたカクベンケイガニやフタバカクガニは、相模湾キッズ水槽へお引っ越ししています。