2016年10月25日
トリーター:笠川

夜な夜な手をのばす

夜な夜な手をのばす生き物がいます。
ぜひ「ナイトワンダーアクアリウム 2016」開催時にお楽しみください。

太平洋の「サンゴ礁水槽」の右端に、明らかに離しておいてあるウミキノコにご注目。
ウミキノコは、見た目がキノコにそっくりなソフトコーラルです。
照明が落ちて、暗いですが、じっと目を凝らして見てみてください。
ウミキノコから細い糸状のものが数本のびて、たなびいています。
これが夜な夜な手をのばすものです。

でも、これはウミキノコが出しているわけではありません。
ウミキノコについているクラゲムシの仲間が触手を伸ばしているようすです。
クラゲムシとは、ムシと名がついていますが、虫の仲間ではありません。
有櫛動物のクラゲの仲間です。
ウミキノコについているものは、その正体が見えづらいので、ぜひ、クラゲサイエンスで、同じ仲間のソコキリコクラゲムシを見てみてください。非常に魅力的でユーモラスな姿をしています。
クラゲサイエンスで展示しているソコキリコクラゲムシは、ウサギの耳のような形をしています。
見る人によっては、となりのト○ロに出てくるチビト○ロに見えると、またある人は、ストッキングをはいた足が犬神家のようになっているといっていました。


ソコキリコクラゲムシ

だいぶ短足ですよね。
このウサギの耳のような先から糸状の触手が出ています。
ウミキノコについているクラゲムシは夜にしか触手を伸ばしませんが、ソコキリコクラゲムシは日中も伸ばしているので、よく観察できます。
餌を捕まえるため、なが~く触手を伸ばします。
有櫛動物のクラゲは、毒針を持たないため、ベタベタの粘着で餌を捕まえます。
餌がかかると、シュルシュルシュルシュル~と見事に触手がしまわれます。
口は下側にあります。うんちもそこから出ます。うんちをすると少し横にずれていきます。自分のまわりにうんちがあるのが嫌なのでしょう。
掃除をおこたると、うんちがあちこちにたまり、明らかによけているのだなと感じる位置にいます。

ウミキノコについているクラゲムシは、ウサギの耳のような形ではなく、もっとベト~っとしたナメクジのような感じで、色も薄いので、なかなか見つかりません。
でも、夜になると、手がのびてくるので、その存在を確認できます。ぜひ、みなさんも見つけてみてください。

太平洋

RSS