2017年03月27日
トリーター:植田

タッチプールで目立たない生き物

タッチプールのコンテナタッチプールのコンテナ

タッチプールの一番低い段の水槽に、漁師さんがよく使う生簀用のプラスティックのコンテナが漬けてあります。
この中の主役は江の島の海岸でも見られる外来の二枚貝のミドリイガイやムラサキイガイです。
これらの貝は、富栄養化した内湾の海岸壁(漁港や港湾施設)や係留ロープなどに多数の個体が集合して付着していることがよくあります。

それらの貝とは別に、一見真ん中にややふくらみがあり、ヘリが薄くとがっている扁平な石と見紛う貝が何個体かいることに気付きます。
その大きさは、長い径で 10cmかそれよりやや長い程度です。この貝も相模湾産です。
その正体はアコヤガイ、真珠養殖で母貝として利用される貝です。


貝殻の表面は短く毛羽立っており、さらに、ホヤの仲間、カイメンの仲間、それにヒドロ虫類のポリプなど、様々な無脊椎動物が付着しているので、二枚貝とはなかなか判断できない外見です。

相模湾の東の湾口付近、三浦半島の小網代湾や諸磯湾といった入り江では、1880年代の終わりごろから約 20年間真珠養殖の研究が進められたという記録があります。
このタッチプールにやってきた相模湾産のアコヤガイは、その時の養殖母貝の末裔なのでしょうか。

タッチプール

RSS