当館の深海Ⅱで展示している「しんかい2000」。今月 8月 7日に、一般社団法人日本機械学会より「機械遺産第87号」に認定されました。
しんかい2000は日本初の本格的な深海の有人潜水調査船で、1981年に完成して以来、1,411回におよぶ潜航をおこない、海洋調査の第一線で運用されてきました。
さまざまな海域に潜航し、相模湾・初島沖で化学合成を行うシロウリガイのコロニーを発見したり、沖縄トラフでは熱水噴出現象を発見するなど、日本の深海研究の進展に大きく貢献してきたという、すごい経歴を持った船です。
ちなみに、しんかい2000が一番多く潜航したのは相模湾で、1,411回のうち 318回潜航しています。
当館にやってきたのは 2002年の運行休止後、10年経った 2012年。全館あげての大きなプロジェクトとなりました。船体は製作した三菱重工の方も初めてというくらいにパーツを外し、コンパクトにして輸送しました。この様子は深海Ⅱのモニターで紹介しています。数案あった中から決まった展示場所は、もともとタッチプールがあった半屋外の場所です。今回はその展示場所の変貌の様子を紹介します。
プロジェクトでは本当にいろいろな方々にお世話になりました。JAMSTECの方をはじめとして、製造した三菱重工の方々、解体・輸送・再組立てをしていただいた業者さん、展示環境を整えてくれた業者さん、展示を作ってくれた業者さん、もろもろの手続きなども必要で、陰で動いてくれた方もたくさんいます。みなさん、しんかい2000の価値を理解して、全力でお手伝いしていただきました。
そして今回、機械遺産第87号に選ばれました。関係していただいたみなさんもきっと喜んでいただいているものと思います。退役後から深くかかわるようになった私たちもうれしいのはもちろんですが、一方で今後の公開整備などもしっかりと運営していき、しんかい2000の価値を伝えていかなければならない、と身が引き締まる思いもありました。
さかのぼりますが、先月 7月からは母船であった「なつしま」の模型が展示に加わりました。どうやってしんかい2000が海上に降ろされるかが一目でわかると思います。今後も少しずつ展示内容を更新して、お越しのみなさんにさまざまな情報を提供していきたいと思います。