もう夏休みも終わりですね。みなさま、楽しく過ごされましたか。
私は、江の島の海岸動物調査のまとめとテーマ水槽の運営、はては急なぎっくり腰でてんてこ舞いでした。テーマ水槽としては前例のない真夏に 2か月の長丁場、バッタをはじめ、かなりマニアックな種選定でお送りいたしましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
あしたからは、先輩トリーターの北田さんによる、クラゲのテーマ水槽です。私とは全く毛色の異なる展示になるはずですよ。
さて、今回に限らず、テーマ水槽が終わった後の生き物たちはどうなるのか、気になった方もおられるのではと思います。
次回の登場時まで、ひっそりとバックヤードで育てられるものや、いずれ他の園館へ引き取られていくものも多いですが、展示コンセプトが合致する常設展示で引き続き展示されるものもいます。
今回でいえば、ヒメツバメウオ。
バックヤードの個体とともに、相模湾大水槽の一角「ジャブジャブ池」あたりで続投をと思っています。ここで「あれ?」と感じた方は、なかなか鋭いです。
「ヒメツバメウオって南国の魚じゃないの?展示ゾーン間違ってない?」
大丈夫なのです。まだあまり知られていませんが、近年に相模湾から記録されています。それも、江の島の隣を流れる境川からです。ということで、晴れて相模湾ゾーンに登場できる魚になったわけです。
ちなみに相模湾ゾーンでは、相模湾と相模灘(広義の相模湾)、そして神奈川県下から記録があるものから、展示種を選定することにしています。ああ、私も近場で採ってみたい。
「マングローブみたいな汽水域の森にいるのでは?」
そうです。本来は塩分が低い特殊な環境に見られるのですが、海で確認されることもあります。長年飼育してきて、純海水でも問題なく暮らせることも分かっています。
ヒメツバメウオは、私が暖かい海(現在の太平洋)担当時代にマングローブの展示を作っていたころからの付き合いですし、プライベートで沖縄入りした時に採集したこともあり、思い入れがある魚種です。
さあ、相模湾を模した環境で元気に暮らしてくれるでしょうか。相模湾ゾーンの展示は規模も大きく、他の魚との相性をはじめ、心配な面もあるのですが、状態を見守りながら展示していけたらと思っています。