この地球上の生き物には寿命があり、歳をとると共に体は衰え、一生を終えるのが普通です。
しかし、中には若返り、人生を一からやり直すことができる生き物がいます。
それが、ベニクラゲです。
今だ人類がたどり着くことのできない「不老不死」を可能にしたこの種は、時々話題になります。
“えのすい”でベニクラゲを展示することは珍しくありませんが、この若返りについてポリプなど紹介する機会がありませんでしたので、きょうは実際に自分でやってみた若返り実験の写真でお話しようと思います。
まず上はみなさんが展示でよく目にするベニクラゲ(北日本型)の姿です。この形から展示を始め、少しぐったりと疲れが見えたら展示からバックヤードのシャーレと移します。
この写真はあくまでも「疲れたベニクラゲ」のイメージです。この状態では若返りさせるにはちょっと足りないことがあり、写真の個体は若返りませんでした。ですがこんな感じに傘がグチュっと縮み始めるとシャーレの底にポリプの根(ヒドロ根)がちょこっと見え始めます。
だいぶ間をはしょってしまいましたが、こちらがベニクラゲ(北日本型)のポリプです。肉眼では糸くずがちょっと付いている程度にしか認識できませんが、よく観察してみるとしっかりポリプのお花(ヒドロ花)が咲いています。
こちらは南に生息するベニクラゲの一種です。矢印の部分には、まだベニクラゲの傘が残っているのが分かります。矢印から左に向かってポリプの根が伸びていることが分かります。この若返りの速さは種類や生息する水温などの環境によってかなり違いがあります。
ポリプがブラインシュリンプを食べているようすです。大きさ 0.4mm前後のブラインシュリンプをほおばるように取り込んでいます。
若返ってから数週間は非常に成長するのですが、その後衰えてしまい、気がつくと存在が無くなってしまっていることもよくあります。結構この時期に、小虫ちゃんがワラワラ賑やかになりますので要注意。
まだ謎の多いベニクラゲですが、展示・飼育をおこないながら今後もいろいろ調べてみたいと思います。