鈴木トリーターの日誌でトラザメの赤ちゃんの紹介がありました。
[2018/01/03 トラザメの赤ちゃんと卵の展示始めました]
トラザメは個人的にもよくお世話になりました。というのも学生時代にトラザメの性ステロイドホルモンの研究をしていました。自分で飼育し、毎月採血して研究していたのが懐かしいです。
懐かしいと言えば鈴木トリーターの日誌で僕の過去の日誌が取り上げられていました。2013年に書いた「蛇鮫」という日誌です。蛇年だから書いたのですが、今回も戌年だからという理由で書いてみようと思います。
今回紹介するのはイヌザメです。タイトルで「戌鮫」と書いてしまいましたが、正式には漢字で書くと「犬鮫」になります。
なぜイヌザメと名前がついたのか由来は諸説ありますが、吻先を海底につけて餌を探す仕草がイヌが匂いを嗅ぎながら歩く姿に似ていることからイヌザメとなったといわれています。
しかし、英名では Brownbanded bambooshark と dog shark ではないです。茶色い縞模様した竹のようなサメ。日本とは全然意味が違いますね。サメの仲間で、dogfishと名前が付いている種がいますが、これは和名だとツノザメのことを表します。国によって捉え方が違うのだなと改めて思いました。
学名の Chiloscyllium punctatum は属名が唇や口吻という意味で、種名が斑点のあるという意味になります。またこれも注目しているところが違いますね。
イヌザメはテンジクザメ目に分類されます。
このテンジクザメ目には当館で飼育しているトラフザメも分類されます。さらには世界最大の魚類、ジンベイザメもテンジクザメ目に含まれます。平べったい形の姿をした種類もいます。姿かたちは違いますが、どうやらこのテンジクザメ目はサメの仲間のなかでも多彩な形状のようです。また、稚魚の時と成魚とで模様が違うのも特徴です。卵から孵ったばかりの稚魚は黒と白の縞模様ですが、成魚になると全身地味な灰色になります。
繁殖方法はトラザメと一緒で卵生です。時折このイヌザメの卵がペットショップで売られているのを見かけます。そう、自宅で飼おうと思えば手に入るのです。しかし、要注意!
生まれたての赤ちゃんは縞模様でかわいらしいサイズなのですが、成魚になると 1mを超えます。
僕も子どもの頃は飼ってみたいと思っていましたが、やはり個人で飼うには大きいですね。
現在“えのすい”ではテーマ水槽にイヌザメの稚魚がいます。この時期だけしか見られない縞模様をお楽しみください。