2018年11月02日
トリーター:小森

カワウソと握手、始まります!

オープン当初から「飼育準備中」のシールが貼られひっそりと存在していた部屋をご存知ですか・・・?
そう、それが握手部屋、私たちトリーターの中ではふれあいエリアと呼んでいる場所です。そしてお待たせいたしました! そのふれあいエリアにて 11月 3日から「カワウソと握手」が始まります!

カワウソの展示が始まって早 8か月。どうしてこんなに時間がかかったかって?
決してもったいぶっていたわけではありません。理由があるのです。
今回は握手が開催されるまでの長く険しい道のりをみなさんにお伝えしようと思います。

3月 3日にオープンした「カワウソ~木漏れ日のオアシス~」。カワウソたちが環境に慣れてきた 4月 7日からふれあいエリアプロジェクト(今勝手に名付けました)は始まりました。
まずはふれあいエリアへ続くトンネルの蓋の開放です。
しかし最初はトンネルを怖がり入ってくれませんでした。ごはんで呼んでも全く来ない。氷をトンネル内に投げ入れてみても入らない。
これはどうしたものか・・・ととりあえず毎日蓋を開けてようすを見ていたところ、数日後には通るように! ただ、肝心のふれあいエリアには降りてくれません。


どうも、少しつるっとした階段の感触が怖いようで降りて来ないのです。
そこで 4月 16日から今度は係がふれあいエリアの中に入り、「ヨモギ」と「ミサキ」を呼ぶことになりました。ごはんを見せ、おいでー怖くないよー! と誘いますが、悲しいことにいっっっっっっさい降りません。
このままでは先に進めないということで、降りて来やすいように 5月上旬にIトリーターが主要な場所に木の板を設置してくれました。
さぁ、ここまでお膳立てしたらさすがに降りて来るだろう!

ではその結果をご覧ください↓(※音量注意)


はい、降りませんでした。
「降りられないっていってるでしょー!!!! 早くごはんちょーーーーだーーーーーい!!!!」
と叫んでいる「ミサキ」です。

これは参った!
それでももう少ししたら降りて来るかも? という望みを持ってトレーニングを続けます。
そして何も進まない日々が続き、しびれを切らしたIトリーターがさらに木の板を設置し、5月 22日にはまるでキャットタワーのような豪華な設えが完成しました。
それがこちら!↓



さあ、ここまでやればさすがに降りるだろう!
念のため彼らの大好きなドンゴロス(麻袋)をセットし、蓋を開けたところ・・・


降りた!!!
ふれあいエリアを開放してから 1か月以上経ちやっと第一関門突破です。
ここからは握手穴に手を入れてごはんを食べる、というトレーニングを開始していきます。

実はこのトレーニング自体は簡単なんです。
コツメカワウソは水辺に生息している動物であるため、魚のほかにもエビやカニ、貝などを食べているのですが、これらは石の下や岩の隙間に隠れているため、隙間があると手を入れて探る性質を持っています。その性質を利用し各地でおこなわれているのがカワウソとの握手体験なのです。
そのため「ヨモギ」と「ミサキ」も第二関門はやすやすと突破しました。


ただ、それで終了ではなく新たな問題も発生しました。
それは・・・


穴の取り合い!!
当館のふれあいエリアには握手穴が 2か所あるのですが、はじめは 2頭とも上の穴を取り合っていたのです。
この戦いを制したのは「ヨモギ」。「ミサキ」がどんなに手を入れようとしても押しのけいっさい動かず、とうとう「ミサキ」が諦めて下の穴に移動してくれたのです。


この時点で 6月 10日。ふれあいエリア開放からすでに 2か月が経ってしまいました。

ですが、場所さえ決まればあとは練習あるのみ!
「ヨモギ」は 10歳ということもあり、非常に安定して握手をやってくれました。問題は「ミサキ」。1歳で落ち着きがないためすぐに離れてしまうのです。
このままではお客さまと握手はできないということで、集中してできるようになるまで練習を続けていくと、いつの間にか 8月に。では 8月から握手開催かというと、残念ながらできませんでした。
なぜなら、ここまでIトリーターが設置したキャットタワーのまま練習をおこなっていたからです。ただひたすらに練習をしてきましたが、最終目標は補助として設置したキャットタワーを外した状態での握手開催です。

ただ、せっかくここまで頑張ってきたのにキャットタワーを外してしまったらまた降りなくなるのでは?という懸念もありました。
そこで、Iトリーターのキャットタワーを元に新しく設えを作っちゃおう! ということで、いざ、工事です。
1か月以上かけ、どんな形がいいか、どんな肌触りならカワウソが安心して降りて来られるかを話し合い決めていきました。そして 9月末に着工し、新ふれあいエリアが完成しました!


関係各部署の方々もこれなら降りるだろう、と期待をしていましたが、そこですんなりと解決しないのがお決まりです。

10月 11日に新ふれあいエリアを開放しましたが、なんと、「ミサキ」が降りません! え、ここまできて? 11月から握手開始のリリースが出ているのに?
いやぁ、焦りました。「ヨモギ」は初日から問題無く降りて来たのですが、ミサキは次の日も、その次の日も降りません。しまいには、降りた「ヨモギ」を鳴いて呼び戻してしまいます。

そこで 10月 14日に「ヨモギ」の大好きなドンゴロスを床に設置し、「ミサキ」が呼んでも戻らないようにできるか試してみました。
結果は・・・成功! どんなに「ミサキ」が呼んでも「ヨモギ」は戻りません。1頭でぬくぬくとふれあいエリアの床で寝転んでいます。
すると、とうとう「ミサキ」も諦め降りて行きます。どう考えても安全な道のりを、腰が引けながらおどおどと、ゆっくりゆっくり降りて行きます。
そしてなんとか無事に床に到着! よかったーーーーー!


「ミサキ」が頑張って降りてきたのもお構いなしに「ヨモギ」は一足先に寝ています。
一度降りてしまえばもう大丈夫。あんなに怖がって降りなかった「ミサキ」も今では駆け下りたり駆けあがったりしています。

さあ、これでもう不安の種はなくなった! かと思いきや、またまた「ミサキ」。あんなにじょうずにできていた握手ができなくなっていたのです・・・。やっぱり 1歳、まだまだ子どもですね。
握手してごはんをもらっては離れ、ごはんをもらっては離れを繰り返しています。
まあ、それも個性かな。落ち着きのないミサキ。ヨモギ程の貫録を得るにはまだまだ長い月日が必要なようです。

さあ、あしたからはどうなるでしょうか?

現在、Web申込みにて握手体験を受け付けています。決して完璧とはいえない握手かもしれませんが、頑張っている 2頭の姿をぜひ目の前で感じてみてくださいね!
みなさんのご参加、お待ちしております!

[ カワウソと握手 ]

カワウソ~木漏れ日のオアシス~

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