2018年12月15日
トリーター:山本

江の島のフウリンクラゲ

寒い寒い・・・一気に寒くなりましたね。先日、今年一年を表す漢字が発表されておりましたが、みなさんはどんな一年でしたでしょうか。
私にとってこの一年は、漢字で表すと「管」でした。なぜかというと、今年一年さまざまなクラゲに関わりましたが、その中でも特に「管(クダ)クラゲ」と呼ばれるクラゲたちが、私の視野を広げ、さまざまなことを教えてくれたからです。

管クラゲとは「ヒドロ虫綱管クラゲ目」に属するクラゲたちのことで、私の大好きな「カツオノエボシ」や、ちょっと前に展示していた「ボウズニラ」、えのすいクラゲの日では常連の「ヒトツクラゲ」などが属しています。
一見すると、クラゲとは思えないような形のものが多く、その生活史も複雑です。飼育が難しいので長期展示ができず、馴染みのない方もいるかもしれませんね。
そんな管クラゲたちには、今年一年大変お世話になりましたので、感謝をこめて、私の今年最後の日誌もちょっと前に江の島でとれた管クラゲのご紹介です。


12月 4日、いつものように江の島でとってきたクラゲを観察していると、小さな小さな管クラゲの幼生を見つけました。種類は全くわかりません。なんかカツオノエボシの幼生に似ているねーと、クラゲチームで騒いでいたら、一日経つとこんな形に・・・!↓


大きさは 0.8㎜ほどです。この時点で、泳鐘(オレンジの丸のところ)という泳ぐ専門の部分ができていますので、カツオノエボシではないことが分かりました。一日でこんなにも体の形が変わってしまうんですね・・・! すごい!
次の日観察してみると、さらに形を変えていました↓


きのうと全然違う! もうまったく何クラゲか分かりません。大きさは 1㎜ほどになりました。
そして 2日後・・・こんな形になっていました↓ 動画でどうぞ


大きさは 1.5㎜ほど。まさかこんな形になるとは・・・! この外見から、恐らくこのクラゲは「フウリンクラゲ」の仲間であると考えられます。
フウリンクラゲって素敵な名前ですよね。一度完璧な状態で採集された個体を見たことがあるのですが、丸くて透明でとってもきれいなクラゲでした(表紙の写真のクラゲです)。育てないと絶対にわからなかったなー。
江の島でクラゲを採集していると、多くの幼体のクラゲが採集されますが、実は大体の種類が判別できません。そんな時は、育ててからようやく種を判断するのですが、今回はまさにこのパターンです。
残念ながらこの成長したフウリンクラゲ(?)は、溶けていなくなってしまいましたが、私たちに驚きの成長過程や飼育方法、管クラゲという生きものの面白さを改めて教えてくれたのでした。

来年はどんなクラゲたちに出会えるかな。
クラゲのみなさま、今年もお世話になりました。来年もよろしく。

クラゲサイエンス

RSS