少しずつ日が伸びてきましたね。まだ寒い日もありますが、きょうは暖かく、厚着をしてきて失敗したなと思いました。
今回の日誌でハナゴンドウとカマイルカの学名のことを書こうと思っていました。いろいろと学名について調べていたら、トリーター日誌で2014・2015年にトリーターSが書いていることに気づきました。懐かしいなと思いつつ、その日誌を引用しながら新しいことも書いてみようと思います。
ハナゴンドウの学名は Grampus griseus で「灰色のクジラ」という意味です。一方のカマイルカの学名は Lagenorhvnchus obliquidens で「ボトルのようなくちばしで斜めの歯」という意味になります。
ハナゴンドウに関しては、当館のビーナは体が白くなっていますが、実際は灰色部分が多いです。「ビーナ」を普段見ていると他の水族館のハナゴンドウが別種のように思えます。
カマイルカの学名の斜めの歯というのは外見ではわかりません。「クロス」と「セブン」の口の中を確認しても真っ直ぐです。歯を抜いてみると確かに根元の方が曲がっているのがわかります。僕も骨格標本などで見て知りました。その他詳しくはトリーターSの 2014/12/02 イルカ・クジラ入門 12 ~ハナゴンドウに詳しくなろう~ と 2015/02/04 イルカ・クジラ入門 13 ~カマイルカに詳しくなろう~ をご覧ください。
ここまではトリーターSがすでに書いているので、ここからは新しいことを書こうと思います。
私事ですが、最近ハナゴンドウとカマイルカの解剖に立ち会う機会がありました。これは水族館で飼育していた動物でなく、目の前の相模湾で死んでしまい、海岸に打ちあがった個体を用いています。ストランディングに関しては以前のトリーター日誌 2018/12/20 ストランディング対応 で少し紹介しましたね。
残念ながら死んだ状態で発見されたものですが、その貴重な命が第二の人生を歩めるように研究や調査などで利用させていただいています。書籍などで解剖図などを見ることもありますが、実際に触って見ることで新たな発見もあるのです。
噴気孔の付近の解剖をしている時に中から袋状の組織が出てきました。外見からはわからない構造です。前庭嚢という袋状の組織でした。さらにその下には鼻前嚢という別の袋状の組織も観察することができました。
これらはイルカが音を発生する時に使われている可能性があるといわれています(諸説あります)。前庭嚢と鼻前嚢は左右 1対あるのですが、面白いことにハナゴンドウには鼻前嚢が片側にしかないようです。種類の違いで構造が変わっており面白い発見でした。
カマイルカの頭を絵で描いてみたので、どこの位置かなんとなく伝わればいいなと思います。しかし、絵心が無いこと・・・絵の勉強もしなくてはいけないですね。