先日、相模湾大水槽をなんとなく眺めていると、イシガキダイが中性浮力を保った状態で横になってじっとしていました。
これはあれだ。掃除してもらっているのだろう。ホンソメワケベラが裏にいるのかな?
そう思い、口を開けてぽかんと見ていると、ゆったりとイシガキダイの体が斜めになってきて、その平べったい体の向こう側からひょっこりと、なんとも期待を裏切る意外な魚が姿を現しました。
カゴカキダイが 2尾、イシガキダイの体を優しくつついているのです。その光景はまさに、ホンソメワケベラに掃除をしてもらっているそれでした。
表層部ではマイワシが群れの形をせわしなく変え、巨大なメインパネル前をホシエイやらドチザメやらが悠々と行き来し、そんな生き生きとした大水槽の、その一か所のみがまるで時間の流れ方が違うかのようにやんわりとし、2種の魚たちによるコミュニケーションがしばらく続きました。
しばらくして魚たちは散開し、大水槽の中の妙な空間は無くなりました。
今度写真が撮れたら飛び入りで載せますね。
ハタタテダイやある種のチョウチョウウオ、ゴンズイなどがこのような行動をとるのは見たことがありますが、他種の体をケアする種は結構多いのかも知れません。
一つの水槽の中では、一つの生態系が作りこまれています。職員でもなかなか見ない光景があったり、大発見をしたり、気持ちがやすらぐ生き物たちのコミュニケーションを楽しむことができます。生き物たちを観察していて飽きることが無いのは、みんな必死に生きているからなのですね。