2020年12月31日
トリーター:櫻井

ベラの魅力、ベラの薦め、ベラを推す

みなさんこんにちは。
今朝は寒かったですね。日本付近は強い冬型の気圧配置となっているようで、年末年始、お身体にはお気をつけくださいませ。
今日は大晦日にちなまない、まつわらない、お話をしようと思います。

今朝、オープン前に見回りをしていたら、太平洋の「トロピカル水槽」で気持ちよさそうに泳いでいたクギベラのオスとメスが目に留まったので少しご紹介しましょう。
ちょうど私が今 はまっている魚の仲間が、フグも捨てがたいですがベラなのです。
ベラの仲間は動きも生態もとても魅力的です。
クギベラはサンゴ礁域などの温かい地域に生息する魚ですが、季節来遊魚などとして関東域でも見られる時期があります。
関東の海で、大人の状態で泳いでいる姿を見るのは稀ですが、幼魚がすばしっこく岩肌をぬうようにして元気に泳ぎ回っている姿を見ることができます。
ベラの仲間は、幼魚のうちは水流に身をゆだねるような感じでひらひら、くねくねとしている種が多く、その動きがベラの仲間を魅了させる理由の一つです。
大人になると一転、姿かたちも模様も全く異なり、ぐねぐねと泳ぐようになる種もいます。それはそれでとてもかわいいのです。
クギベラは、基本的に大人も子どもも素早く泳ぐビュンビュン系ですね。


上の写真は、緑のツートンカラーが鮮やかなクギベラの幼魚です。

姿かたちもかわいく、泳ぎ方も魅力たっぷりのクギベラの幼魚ですが、成長とともにオスへと変化する個体がいます。メスからオスへと性転換する、なんとも不思議な生態ですが、これを雌性先熟と言います。
ベラの仲間はこのような性転換をする種が多いのに対して、クマノミ有するスズメダイの仲間は逆に、オスからメスへと性転換する雄性先熟をとる種が多いです。



上の写真では、白と黒のツートンカラーがメス、緑一色がオスです。

人間社会では考えられないような不思議な生態も、魅力の一つですね。
とても信じられないような不思議な生態も、海の環境を知り、魚たちを取り巻く生態系を知れば理解できます。 ガラス一枚隔てた水の中では、私たちの常識が通用しない異世界が今日も当たり前のように広がっています。

太平洋

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