2021年01月09日
トリーター:西川

化学合成生態系水槽の小さな変化

この水槽は、 深海Ⅰ~JAMSTECとの共同研究~ で展示している化学合成生態系水槽です。
深海の中でも特殊な「化学合成生態系」で生きる深海生物の飼育研究をしていて、有人潜水調査船や無人探査機を使用しないと採集できない生物を飼育しています。水槽の中央と左右の3か所に分けてそれぞれに特殊な環境を再現しています。

今回の日誌では、この水槽で最近変わったことを二つ紹介します。

一つは、水槽左側に昼白色の照明が追加されたことです。これは小さいようで大きな変化かも知れません。
このおかげで照明設置前よりも何倍も水槽内が見えやすくなりました。水槽の左側は熱水噴出域を再現しているので、チムニーと呼ばれる柱状に積み重なった鉱物の結晶をよく観察することができるようになりました。

そしてもう一つは、水槽中央に二つ目の鯨骨を設置したことです。この鯨骨は本物のクジラの骨です。
この場所では、一生を終えたクジラが海底へ沈み、さまざまな生物に利用される鯨骨生物群集と呼ばれる環境を再現しています。
初めに設置した大きな鯨骨はその大きさゆえに迫力はありますが徐々にぼろぼろになり、今では触れると簡単に凹んでします。追加した鯨骨は白く頑丈で、表面にはホネクイハナムシが棲んでいます。


ホネクイハナムシは名前の通り鯨骨の養分を吸収して生きています。寿命が短いのでしっかり観察できるのはおよそ1か月です。
小さな変化を積み重ねてよりよい水槽へ。地道な努力をしていきます。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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