2024年10月08日
トリーター:松田

イルカの尿検査

みなさんこんにちは!新人獣医の松田です。
今回はイルカの尿、つまりおしっこの検査についてお話しします。

尿検査は私たちヒトでも馴染みのあるものかと思います。小学校などで、朝にした尿を提出した記憶のある人も多いのではないでしょうか。
しかしイルカの場合、普通はおしっこをプールの中でしています。これは以前の
トリーター日誌でお話ししたうんちでも同じですね。
ではどうやっておしっこを採って検査するかというと、イルカに陸上でおしっこをしてもらうのです。

言葉ではかんたんに聞こえますが、これもイルカのトレーニングが必要になってきます。
まず、おしっこが採りやすいように横向きに陸上に上がってもらいます。そして、おしっこを溜めている膀胱のあたりを押すというサインで、イルカにおしっこを出してもらいます。私たちはそこに採尿用のカップを構えて、おしっこを採らせてもらっています。

採ったおしっこは、まず専用の試験紙を使って、含まれている成分を調べます。
おしっこは腎臓で血液を濾過したものを元にして、さらに成分を排出したり、逆に再吸収したりすることでつくられています。ですので、おしっこの中には含まれているべき成分と、含まれていてほしくない成分があるのです。それを色の変化で簡便に知ることができるのが、検査に使っている試験紙です。

(色を比較することで各成分の量がわかります。今回は特に異常なし。)

もしこの試験紙で異常があった場合には、胃液の検査のときと同じように、遠心分離をして沈渣を検査します。イルカに膀胱炎などがあるときには、膀胱の細胞や白血球が出てくることがあります。
また、病気を調べるための検査だけでなく、イルカの繁殖を目指しているときには、専用のキットを使って尿に含まれているホルモンを測定することもあります。人間で妊娠の判定に使われるものと同じイメージです。

さて、いろいろな検査について紹介してきた私のトリーター日誌でしたが、ちょっと小難しい話が多かったでしょうか…?
普通の動物病院とは違うことが多い水族館という環境ですが、獣医師とトリーター、そして生き物たちにも協力してもらって、生き物たちが健康的に暮らせるよう日々努力しています。入社して半年、少しずつできることが増えてきた(はずの)私たち新人獣医ですが、まだまだ覚えることもできるようにならなければならないこともたくさんあります。これからもさらに頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。


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