2019年08月12日

岩手県宮古沖体験乗船(3)航海日誌/鈴木

  • 期間:2019年8月9日~8月12日
  • 場所:岩手県宮古沖
  • 目的:第21回全国児童「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」入賞者体験乗船
  • 担当:杉村・鈴木


みなさんこんにちは、鈴木です。
8月9日~12日の4日間、JAMSTECの海底広域研究船「かいめい」で、無人探査機「KM-ROV」を使った体験乗船(深海調査航海)に杉村トリーターとともに乗船しました。
潜航海域は、岩手県宮古沖、水深 300m~ 500mです。

今回は毎年“えのすい”も参加させていただいている、JAMSTEC主催の第21回全国児童「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」の入賞者体験乗船で、コンテスト入賞者のみなさまに海洋調査の現場を体験してもらうことを目的とした航海になります。
このコンテストは全国の小学生を対象として、海洋に対する夢やアイディアをはがきに描いて応募してもらうというものですが、な、なんと、その入賞者特典としてJAMSTECの研究船での調査航海に参加できるのです。
海洋調査研究の最前線であるJAMSTECの船で実際に深海調査などを体験できるなんて・・・
以前にもいったかも知れませんが本当に夢のような特典です。
興味のある方はぜひ JAMSTECのホームページを見てみてください。過去の入賞作品や、過去数年分の体験乗船などのようすが紹介されていますよ。

今年は入賞者の10名に加え、「三陸防災復興プロジェクト2019」に関連して選ばれた岩手県の子どもたち 8名を迎えた計 18名(保護者を入れて 36名)が参加し、それぞれ 4日のうちの各日に割り振られて乗船しました。
“えのすい”は、4日間全てに参加させていただき、主に採集された生物の飼育管理や解説を担当しました。

今回、体験乗船プログラム自体は 4日間変わりませんので、杉村トリーターが書いている内容とはすみ分けて、私は船での生活をメインに書かせていただきます。
それでは始めます。


と、その前に・・、まずこの「かいめい」という船について少し書きますと、2016年に竣工した JAMSTECで現在最も新しい船で、海底資源の分布やでき方を調べたり、海底下の地層の構造を調べて地震などの研究を行うなど、幅広い調査ができる研究船です。
今回詳細は割愛しますが、船の操縦などをはじめ、各所に最新の技術が使われているとのことなので、これまた JAMSTECのホームページをチェックです!

船の運航上の設備はもちろんですが、研究者が実験などで使用するラボの設備もとても充実しています。
最初になんと言っても広い!これならなんでも置けますし、色々な実験が可能です。
設備も最新の研究機器を搭載しております。
ただ、我々が一番驚いたのが、冷えた海水が出ることです。
通常は、常温の海水を汲み置きし、一日かけて冷蔵庫で冷やして、深海生物の水槽の水換えなどに使いますが、なんと、この船では蛇口をひねるだけで、4℃までの任意に設定した海水が出ます。これは、深海生物を船上で状態良く生かすという我々の立場からは大変、大変ありがたいことです。



ではようやくここからが本題です。
今回の4日間の乗船中は「かいめい」の船内に宿泊しましたが、この船が素晴らしいのは、研究や操縦だけではありません。人が暮らすにも素晴らしく快適な船なんです。
私は他の船への乗船経験が少ないので完全な比較はできませんので、あくまで私の主観ですが、経験豊富な杉村トリーターを始め、JAMSTECの方々もこの船は快適・・といっておりましたので間違いないかと思います。
ではさっそく、実際に我々が過ごした生活空間を紹介します。

まずは、我々が泊まった部屋から。


なんと一人部屋です!
過去に乗船させていただいた船では、2~4人部屋で、我々の立場であればそれが通常でしたが、こちらの船では基本的に一人部屋で作られています。
長い航海、ずっと同じ船の中で生活と仕事をするので、プライバシーに配慮して個室となっているとのこと。限られた時間の中で最大限に良い仕事をするためのつくりというわけです。
それにしても大変快適です。
エアコン、空気清浄機、冷蔵庫にテレビ。必要なものがコンパクトに備わっています。
テレビでは、無人探査機の潜航中には潜航映像を見ることもできますし、船の位置や甲板での作業のようすなどを確認することもできます。
空気清浄機がロープで壁に固定されているのは航海中船が揺れても動かないようにです。
ちなみに写っていませんが、冷蔵庫の扉にも揺れで勝手に開かないようストッパーが施されていました。
船では当たり前なのかも知れませんが細かな配慮に驚くばかりです。



こちらは机の上をアップにしたもの。
デスクライトにコンセントも4つ。パソコンでの作業も快適でとてもはかどります。
写真では見づらいですが、船が揺れた時にパソコンが動かないように、すべり止めゴムマットまであります。ここにも揺れに対する配慮が・・。
また、写真ではリモコンの下に置いてありますが、おそらくマウス用に小さいゴムマットも用意してくれています。なんと細やかな心遣いでしょうか・・。



洗面台も完備。上の鏡のボックスには、コップや食器洗い用の洗剤とスポンジも入っています。
クローゼットの中にはハンガーと収納、そしてなんと布にシュシュッ!でお馴染みのスプレーまで・・。ほんと、至れり尽くせりです・・。
研究者は入れ替わりで乗船するので、船の生活に慣れている人ばかりではありません。細かな配慮が、安心して生活し、効率よく仕事をするのに必要なのでしょうね。



細かい所ですが、窓のカーテンの外周には磁石が入っており、壁にくっ付くようになっています。これも船の揺れで、めくれない工夫ですね。
ここまでくると只々感心してしまいます。
聞くところによると、夜間航行中は運航の妨げにならないようカーテンを閉めるように言われることもあるようで、運航上の安全のためでもあると思われます。


続いてお風呂です。



見るからに清潔感がありますよね。
本当に船は清掃が行き届いていて、船内はとても綺麗です。
えのすいの仕事部屋も見習わないといけませんね。
浴槽はゆっくり足を伸ばせるくらい広く、時間内には常にお湯が沸いております。
船内図を見る限り、男性、女性用合せて5個くらいありました。
「かいめい」は、最大で 65人の乗組員と研究者が乗船できるので、きちんと数が確保されています。
足マットはちょっと前に話題になった、珪藻土マットです・・。
もうここまで来たら驚きません・・。


こちらはトイレと洗濯場です。


洗濯機、乾燥機ももちろんあります。
洗濯洗剤も完備されています。


なんと、お掃除ロボットも各フロアに導入されています。
掃除はロボットにお任せして、効率化しているそうです。
余談ですがこのメーカーのお掃除ロボットってあるんですね。我が家にあるロボの3倍くらいの厚みです。完全な業務用です。毎日頑張っておりました。自分たちの部屋も扉を開けておけば、廊下と繋がっているので勝手に入って掃除してくれるそうです。毎日お疲れさまです。
因みに、各フロアに設置されている掃除機は吸引力が落ちないあの掃除機でした。
しかもハンディ。最終日には自分の部屋を掃除してから下船しますが、ゴミは逃がさないし、軽くて使いやすかったー。今度我が家にも欲しいです。


さて、長々と書いて参りましたが、全て語っていると本当にキリがなくなりますので、最後に、食事前には見ない方が良い、いわゆる“飯テロ”写真を数枚載せて終りたいと思います。
決して空腹時には見ないでくださいね。
船の食事は専属のコックさんたちが作ってくれますが、これがほんっとに美味しいんです。
今回は朝と昼の 2食を 4日間堪能させていただきました。
船で船の仕事は体力勝負ですので、ボリュームもたっぷり・・最高です。
毎日メニューも違いますし、栄養バランスもすごく考えられているんです。
デザートもあるんですよ。なんとパンも船で焼いているそうです。
今回は 4日間でしたが、長い航海では食事は一番の楽しみ。乗船者みんなが元気に働けるように、考えられているんですね。
また、これは初めての経験でしたが、「かいめい」ではビュッフェスタイルとなっており、自分で御盆を持っておかずやごはんを取っていきます。
この方法だと残しがほとんどなくなるので、無駄にならない工夫でもあるそうです。
すごいです。
それでは美味しそうな写真と共に失礼いたします。
お腹が空きましたー!(>_<)


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KM19-06 岩手県宮古沖「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」体験乗船での航海

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS