2006年10月05日

ノースフィジー海盆、マヌス海盆(27)最終回

  • 期間:2006年9月6日〜 2006年10月5日
  • 場所:ノースフィジー海盆(フィジー)、マヌス海盆(パプアニューギニア)
  • 目的:熱水生物調査・採集
  • 担当:三宅


きょうが最終回です。いま、帰りの飛行機の中で書いています。
きのう10月4日の朝8時にスバ港のKings Warfに着岸しました。
島の山並みはぎざぎざしていて、火山島(多分火山島です)のような見晴らしです。
朝 6時から早くから生物をパッキングして、税関の荷物検査は無事終了。
しかし、一番大事な生物持ち出しの許の為のフィジーの漁業省の幹部のチェックが必要です。そこから飛行機による輸出許可が下りないと持ち出せません。
船から連絡するもなかなか繋がらず、ようやく繋がったと思うと、ミーティング中で終了待ち。船を 13時に出発して、ナンディに移動の予定だったので、ミーティング待ちも時間がないので先に持ち出し生物リストをファクスで送ろうとしても繋がらない.....

どうなるのか?無理なのかなぁ....

と思ったところで、フィジーの日本大使館の援助でようやく連絡がつき、12時半にフィジーの漁業省の方が来てくれました。大使館にはいつも助けられます。ほんとうにありがたいです。
生物をチェックして、オフィスにもどって、正式な輸出の許可証を 13時20分に持ってきてくれました。これでひとつハードルを越えました。
そして研究者みんなでナンディ国際空港のすぐそばのホテルに入りました。ホテルの部屋ではせっせと生物の面倒を見ていました。

本日 10月5日
朝早くに起きて、生物の水換えして再パッキングです。
そして、空港に行き、荷物を預けようとしたら....
事前に航空会社のコンタクトをとっていた人に 8時か 9時頃に空港に着くといっておいたのに、何で 8時に来ないんだ!といわれながらも、輸送業者にもきょう送るなら朝 6時に来ないといけないよ!といわれながらも、それなら早く連絡してくれたらよかったのにと思いながらも、みなさんが一生懸命間に合うように輸送の手配をしてくれました。
もう一つハードルを越えることができました。
後は日本の通関だけです。
でも、飛行機の搭乗ぎりぎりまでかかったので、免税店での買い物は全然できませんでした...

いま、貨物室には南半球のパプアニューギニアのマヌス海盆とフィジーのノースフィジー海盆の水深 1,600~ 2,700mから採集された深海生物が赤道を越えて日本に行こうとしています。
たぶん、世界で一番移動距離の長い、一番高いところを移動してきた生きた深海生物になると思います。
生きて持ち帰った熱水噴出域に生息する深海生物は、なぜ、どうやって熱水にしかいないのか?どうやって熱水を探してやってくるのか?どうやって繁殖して、ひろい深海底の中でもピンポイントにしかない熱水に分布を広げていけるのか?などを「生きた」サンプルを使って、飼育観察していきます。
深海生物でも特に熱水噴出域の生物の飼育研究はJAMSTECと新江ノ島水族館がおこなっている共同研究の成果が、世界最先端を行っています。この航海での成果がまた世界をあっといわせるものになるように頑張ります。

この航海は「よこすか」の船長をはじめ乗組員、「しんかい6500」の指令をはじめ運航チームの方々、そしてJAMSTECの陸上で支援してくれた方々、そのほかにもいろいろな人たちが協力して、いろいろな人たちに支援されてできたものです。
もちろん、この航海日誌の読者のみなさんもそうです。
この場を借りて、みなさんに厚く御礼申し上げます。

最後に読者プレゼントです。
前回の日誌の写真にあったノースフィジー海盆に「しんかい6500」と一緒に潜ったカップヌードルを 2つプレゼントします。
みなさんどしどし応募してください。
※受付は締め切りました。
 たくさんのご応募ありがとうございました。
※プレゼントの当選は、発送をもってかえさせていただきます。



[きょうの写真]
上/スバ港の眺め
中/スバに着岸した「よこすか」
下/プレゼント商品 戻ってきたカップ麺のカップ

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

グアム出港〜PNGマヌス海盆〜ノースフィジー海盆〜フィジー下船
海洋研究開発機構(JAMSTEC)YK06-13「よこすか/しんかい6500」によるノースフィジー海盆(フィジー)、マヌス海盆(パプアニューギニア)調査潜航

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS