2007年11月28日

能登島エチゼンクラゲとの果てしなき戦い / 小谷野

  • 期間:2007年11月26日〜 2007年11月28日
  • 場所:能登島
  • 目的:エチゼンクラゲ採集
  • 担当:植田 ・ 小谷野


〔前回までのあらすじ〕
昨年 10月のこと。エチゼンクラゲ採集のため、石川県能登半島まで片道 10時間かけて行ったのにも関わらず、結局エチゼンクラゲに遭遇できなかった私。
はたして今年は無事にエチゼンクラゲを採集することができるのだろうか・・・。

朝 3:30、漁師さんの船に乗せてもらって出航。沖の定置網をめざしました。
エチゼンクラゲがたくさん定置網に入っていることを願いつつも、海の夜風は冷たく、これから暗い海に、しかもエチゼンクラゲがうじゃうじゃしている定置網のなかに飛び込むのかと思うと憂鬱な気分です。
エチゼンクラゲに刺され、唇がタラコのようになった足立さん(クラゲ担当者)の顔写真が脳裏に浮かびます。
しかし今年はなんとしてでもエチゼンクラゲを“えのすい”に持って帰り、繁殖させて、現在おこなっている研究を進めなければなりません。

そんなことを考えているうちに、船が定置網に着きました。水面をぱっと見たかんじでは、エチゼンクラゲが 1個体しかいません・・・。しかも大きすぎる!
傘の直径が 1mくらいあります。これでは大きすぎて持って帰ることはできません。また今年も・・・、と思ったそのとき、網の底の方からエチゼンクラゲが浮き上がってきました。

「今だ!飛び込め!!」

怖いとかそういうことを考えている余裕もなく、とにかく必死で網の中に飛び込み、元気なエチゼンクラゲを探します。
船上からは「そっちじゃない!こっちのクラゲだ!」という植田さんの声が聞こえてきますが、たくさんのクラゲに囲まれているため、どのクラゲのことを指しているのかよくわかりません。
エチゼンクラゲの捕獲は時間との戦いです。なぜなら漁師さんが作業をストップして、わざわざ私たちがクラゲを捕まえるのを待っていてくれるからです。
なんとか傘の直径が 5cmほどのクラゲを抱えて樽に入れ、船上から樽ごと引き上げてもらいます。
あまりに重いため、船に備え付けてあるクレーンで持ち上げます。
この日は結局 3個体採集することができました。採集が終わって船に引き上げてもらったとき、本当にほっとしました。
今年はエチゼンクラゲを採集できた!

次の日の朝、私たちが捕獲したエチゼンクラゲは拍動も弱々しく、結局ほとんど卵を出しませんでした。
私たちの今年の 1番の目標は、エチゼンクラゲの受精卵を得ることでしたが、今年も私は使命を果たせなかったのです・・・。

日本沿岸で漁業を営んでいる漁師さんはまさに、エチゼンクラゲと日々格闘していますが、エチゼンクラゲの研究者やそして私たちも、エチゼンクラゲの生態を解明すべく、日々努力をし続けています。
今度こそはきっとうまくいく!そう信じてエチゼンクラゲの研究を続けていきますので、みなさまの応援をよろしくお願いいたします。

樽に入れられたエチゼンクラゲ樽に入れられたエチゼンクラゲ

定置網に入網したエチゼンクラゲ 定置網に入網したエチゼンクラゲ

定置網漁のようす定置網漁のようす

船上から見た朝日船上から見た朝日

クラゲファンタジーホール

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS