2008年01月25日

江の島 源春丸漁師一日体験

  • 期間:2008年1月25日
  • 場所:江の島 2か所(水深100m・水深70m)に仕掛けた刺し網の揚網
  • 目的:ウミユリ、サメ、深場のウニ類・ヒトデ類の入手
  • 担当:小谷野


きょうはこの冬一番の寒さ。こんなときでも漁師さんは海にでます。

朝7時30分、江の島漁港を出発。『採集晴れ女』の私らしく、快晴。富士山の上にまん丸に近い月がかかっていて、慌ただしい朝のほんのわずかな時間だけれど、穏やかな気分になれました。

本日の漁師さんの狙いはヒラメ、私たちの狙いはウミユリや、サメ、やや深場に生息するウニ類・ヒトデ類です。網を入れたポイントに行くと、漁師さんは慌ただしく網をあげていきます。なにしろ本日の刺網は海の中を 1kmにわたって張られ、水深は 100mを越えているので、のんびりやっていたら仕事が終わらないのです。冬の海風は冷たく、網をあげる手の先がかじかみ、しばらくすると指の感覚がなくなりました。網にかかってくるのはシビレエイとビニールばかり。広大な海の中のたった 1kmの網に 15枚ものビニール袋がひっかかっていたのです。海のごみが漁師さんの仕事の大きな妨げになっていました。ビニール袋が網の細い糸にからまると、それを取るために膨大な時間がかかるのです。ここで環境問題について考えさせられるとは思っていませんでしたが、海のごみの問題の深刻さを、身を持って感じました。海のごみは私たちの食卓に直接かかわってくる問題だということを実感しました。

漁師さんは網にからまったシビレエイに感電したり、魚やウニの棘に刺されたり、サメの歯で怪我をしたりするそうです。たしかにちょっと手袋に穴があいているだけで、シビレエイを触るとピリピリしました。私はシビレエイに感電したことがなかったので、ちょっと感動しましたが、漁師さんにとってはかなりの邪魔者のようでした。実際、目当ての魚を網からはずしている時間よりも、シビレエイやゴミをはずしている時間の方が長かったのです。きょうの漁師さんの成果はヒラメとアマダイ、ホウボウなど。私たちの成果は大きなフクロウニやカスザメなどでした。

下船後、漁師さんの網を片付ける仕事も手伝いました。これは想像以上に大変な仕事です。網の絡まった部分をほどいてくのですが、1か所絡まった部分をとるために3人がかりで15分以上かかり、2時間かかって片付けてもきょうあげた網の2/3しか片付きませんでした。漁師さんは毎日こんな作業を寒空の下で1人でやっているのだな、と思うと頭の下がる思いがしました。

こんなふうにして魚は採られます。私はきょう1日の体験で漁師さんがあんなに苦労をして魚を採ってくださるのだから、もっと大事に食べようと思えるようになりました。

『魚を食べられる幸せは漁師さんのおかげ』

このことがみなさんに少しでも伝わったらいいな、と思います。

江の島沖の月と富士山江の島沖の月と富士山

船上で作業中船上で作業中

刺網にからまったヒラメ 刺網にからまったヒラメ

フクロウニフクロウニ

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS