2008年02月01日

相模湾初島沖(5)新居へ

  • 期間:2008年1月27日〜2月1日
  • 場所:シロウリガイ、ハオリムシ 他 調査採集
  • 目的:相模湾初島沖
  • 担当:足立


30日に最終潜航を終え、31日は母船の「なつしま」とハイパードルフィンをつないでいる、3kmにわたる長―いワイヤーロープの捩れを直す作業がおこなわれました。
通常の潜航では、あちこち移動して作業をするので、だんだんロープがねじれてきます。それを戻すことを目的として、ハイパードルフィンを深海に降ろす作業で、「フリーフォール」と呼ばれています。
ハイパーチームと、船員さんたちが「フリーフォール」の作業をおこなっているその同じ頃、私たち乗船研究者は、少々てんてこ舞いになっていました。なぜなら、下船日が1日繰り上がったからです。
当初2月1日だった予定が、31日の午後3時に、もう入港することになったのです。
最終潜航のあとの1日を丸々使って、最後の実験と片付けを・・・ なんて思っていたのが、一気に余裕がなくなりました。
でも、さすがは、優秀な研究者のみなさん。私のようなスローライフの凡人から見たら、魔法のような手際のよさで、限られた時間内に実験を終らせ、持ち帰るサンプルをまとめ、後はそれらを各々の研究施設に送るために箱詰めし、宅急便屋さんが来るのを待つばかりという状態で、下船されて行かれました。

私は、というと、最初から到底31日午後3時には間に合わぬと開き直り、首席を通じて、もう1日船内泊を頼み込み、夜通し水を換えたり、貝の数を数えたりしておりました。
2月1日、早朝から生物を梱包していると、9時ごろになってJAMSTECの研究員の方々や昨日一端上陸して、今朝再びやって来られた乗船研究者が現れ「なつしま」はがぜん賑やかになりました。
やがて新江ノ島水族館からの迎えも到着し、残りの梱包と機材の運び出し、部屋の掃除などを終え、荷物満載のトラックえのすい号は一路新江ノ島水族館へ向けて、「なつしま」を後にしました。
思い返せば怒涛のような6日間。大変ではありましたが、有意義で楽しい夢のような6日間でした。
そしてまもなくトラックを降りると、いやおうなく夢から現実の世界に戻るのです。

さて、相模湾の海の底からやってきた深海生物たちは、大歓迎されて、新江ノ島水族館の門をくぐりました。
ハオリムシ、シロウリガイ、シンカイヒバリガイ、ゲンゲ、オハラエビ・・・ 。担当者たちが敏速かつ丁寧に水槽に移してゆきます。
写真は、800mの深海底ではありません。新江ノ島水族館の水槽の中です。
でもつい2日前に見ていた現場の雰囲気にそっくりで、ちょっと、デ・ジャ・ビューな気分になります。
すぐには落ち着かないと思いますが、彼らがこの新居を気に入ってくれることを祈りながら、今回の航海最終日誌を閉じることにします。

[きょうの写真]
化学合成生態系水槽の中の生物たち

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-03 「なつしま/ハイパードルフィン」による相模湾初島沖 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

今回一緒に乗船している北里大学水産学部のホームページも同時にお楽しみください。
 [ 北里大学水産学部ホームページはこちらから

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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