2008年05月30日

北海道奥尻島沖(3)もうすぐ日本海!

  • 期間:2008年5月29日〜 6月19日
  • 場所:北海道奥尻島沖
  • 目的:深海生物 調査採集
  • 担当:根本


JAMSTECの深海調査船「よこすか」乗船中の根本です!きのう久里浜を出て、現在は津軽海峡を航行中です。

朝起きたらきのうとは気温が全然違いました。
寒いので急いでフリースを引っ張り出しました。まるで冬のようです。ちょっと外に出て海を眺めていましたが数分ほどしか耐えられません。
「しんかい6500」の格納庫で作業されているチームの方々も、厚手のジャンバーを着こんで作業をされていました。部屋の空調は冷風しか出ず、外から帰ると毛布にくるまって朝ご飯までじっと温まっていました・・・ 。
海水も 10℃以下です。寒いのは嫌ですけど、深海生物を飼育するには便利な水温です♪
小笠原の航海ですと、水を冷やすだけでずいぶん時間がかかっちゃいますからね!

まだ調査海域の奥尻には到着しません。
あす 31日の朝に到着予定ですので、船上はまだのんびりしています。

きょうは朝 10時から潜航者に対する「しんかい6500」の説明会がありました。
説明会ではプロペラの話や耐圧殻の中の話、船内で使うカメラなど、いろいろな説明をしてもらえるのですが、一番大切なことは、緊急事態の時の話です。

まずは最も身近な緊急事態、そうトイレの話です。
「しんかい6500」の乗り込む部屋は内径 2mの球状をしていて、もちろんトイレは付いていません。
ですので簡易トイレが積んであります。見たことありますでしょうか?
よく「車で渋滞にはまったときに使いましょう」といって渡されるような、携帯トイレです。
“えのすい”の潜航経験のある植田さんと北田さんは使ったことないそうですが、私は去年の初潜航の時に使っています。
この話をすると「おまえは緊張感が足りない!」と馬鹿にされますが、あれは我慢しちゃだめです。我慢しすぎると、足りずに途中で“おかわり”するはめになります。
ちなみに今回乗船されている方の中には、おかわり経験があるかたがいらっしゃいました。私は前回ギリギリでした・・・ 。

そして本当の緊急事態の時、つまり浮上できなくなった場合の話が続きます。
そうなった場合、最初にバラストといわれる鉄の重りを捨てます。
潜水船は基本的にバラストをつけていない状態では浮くようにできていますが、それでもダメなら次はサンプルを入れるバスケットを捨てます。
それでも浮かないときは“腕”を切り捨てます。
このようにして重い物を全部捨てていきます。
それでも浮かないときは、ヒモが付いたブイを打ち上げるそうです。でもヒモの長さは 50m、海面までは届かないのです。
海面で待機している母船の「よこすか」は、船からフックのついたロープを出し「しんかい」が沈んでいるであろう場所の上を走りまわって、このブイ引っ掛けるそうです。
潜水船の中では 5日ほど生きていられる酸素や水、食料が積んであるので、慌てず騒がずゆっくりと助けを待ちます。
日本の「しんかい6500」は今までこのような事故は起こっていない優秀な船ですので大丈夫!と思うのですが、ちょっといろいろ考えちゃいますよね・・・ 。

そんな話のあと、体重を量ります。人間の体重も考慮し「しんかい6500」の浮力材を調節します。
その後、潜航服の試着をします。深海は極寒の世界ですので、防寒のため潜航服を着ます。
そして、いよいよ実際に「しんかい」の中で説明を受けます!緊張と実感が一気に高まる瞬間です!

ちょっと文章が長くなったので、水槽の話やスラープガンの話はまた今度!そろそろ寝ますね。

それでは、また!

[きょうの写真]
上/しんかい6500説明会直前のようす
中/潜航服
下/体重測定

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

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海洋研究開発機構(JAMSTEC)YK08-07 「よこすか/しんかい6500」による北海道奥尻島沖 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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