2008年06月01日

北海道奥尻島沖(5)しんかい6500の宿命

  • 期間:2008年5月29日〜 6月19日
  • 場所:北海道奥尻島沖
  • 目的:深海生物 調査採集
  • 担当:根本


朝起きて窓を覗く、「うむ・・・、こりゃ微妙だぞ」。
服を着替えて食堂の席に着くと、とりあえず 9時まで待機することが主席研究員の口からみんなに伝えられた。
天気が停滞していてきのうとあんまり変わらないのだ。

食べ終えて後部格納庫に行くと、「しんかい6500」のチームがテキパキと潜航準備をおこなっていた。
挨拶をしつつその横を通って外に出ていった。
強い風に目を細めながら眺めてみると、鉛色の空と海が広がっていて、海面も波立っていた。

「どうかなぁ・・・ 」と思いつつ第一ラボラトリー、通称「 1ラボ」に行く。ここは研究者の基地のような場所である。
ミーティングは必ずここでおこなわれているし、誰かしら研究員の方がここにいる。
私は作業が無い時は、だいたいパソコンとともにここにいる。自分の部屋でもメールやパソコンの作業はできるのだけれど、ここにいた方が情報を手に入れやすいし、何よりも船酔いをしないのだ。
今回の部屋は船の一番前の部屋。
船が波を越えた時のシーソーみたいな動きをした時に、影響をモロに受けてしまう部屋なのだ。
一方、1ラボは船の真中、しかも一段低い階にあるので、横揺れの影響も少ない。場所によってだいぶ揺れ方が違うのだ。
しかもコーヒーが置いてある食堂がすぐ近くにあるので、とっても快適。

パソコンに向かって“えのすい”へ航海報告のメールをしてしばらくすると、船内放送が流れた。

「本日の潜航は天候不良のため中止する。以上。」

きょうも潜航はなくなってしまった。またもや待機。待機は安全第一の有人潜水船の宿命なのです。

さて、こんな時は普段は貯めているパソコン作業をやって過ごしますが、潜航中止が 4~ 5日続くと、みんなイライラが溜まってきます。そんな時に活躍するのが「娯楽室」。

船の中でこの部屋だけが和室になっていて、畳が敷いてあり、窓には障子もあります。マッサージチェアもあり、和の癒し空間の中でマッサージも受けられます。
囲碁、将棋、テレビ、漫画、さらにビデオもゲームもそろっています。まさに娯楽室。
本来は何か月にも渡る船内生活をおこなう船員さんのための部屋なのですが、私たちも使わせてもらいます。
去年の千島海溝の航海では、研究者と私と学生で、テレビゲームで汗が出るほど遊んでストレスを解消していました。

あしたはどうやら潜航できそうです。この航海では娯楽室の出番は無いかな!
きょうはもうあしたの潜航に備えて休みたいと思います。

それでは、また!

[きょうの写真]
上/格納庫
中/1ラボ
下/娯楽室

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

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海洋研究開発機構(JAMSTEC)YK08-07 「よこすか/しんかい6500」による北海道奥尻島沖 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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