2008年06月24日

沖縄トラフ(2)なつしま精肉工場?

  • 期間:2008年6月23日〜 7月4日
  • 場所:沖縄トラフ
  • 目的:深海生物 調査採集
  • 担当:伊藤


みなさまこんばんは。調査船なつしまは現在、沖縄本島東部にある金武(きん)湾に避難しています。
きょうは朝から夕方まで、もう一つの調査の準備をしていました。
「もう一つの調査」とは、鯨の骨を深海に沈めて、生物が骨に集まり定住するようすを調べることです。
自然界でクジラが死ぬと、みなさんどうなると思いますか?
しばらく水面を漂い・・・ やがて海底へ沈んだ鯨は、イバラガ二やヌタウナギのごちそうとなり、肉は食い尽くされ、骨だけにされてしまいます。
その骨から硫化物がジワジワと染み出すのですが、これがちょうど、一部の特殊な生物の栄養源となり、熱水噴出口などと同様に機能するらしいのです。
水族館でも、サツマハオリムシの展示の根元をよく見ると、鯨骨があり(石だと思っている方も多いことでしょう)、ヒラノマクラという黄色い貝がくっ付いて暮らしていますし、にじみ出したエキスがハオリムシの栄養になっています。

作業は大量に積み込んだ鯨骨(背骨)を船のデッキから移動させるところからです。
1つでコンクリートブロック 2個分くらいあるでしょうか。
沈める骨を一つ一つ船員さんが縄で縛り、丁度「おみやげのスイカ」状態にします。
それを我々が加工していきます。
具体的には、ハイパードルフィンのマニュビレーター(手)が縄をつまみやすいように、テープやインシュロックで持ち手を作ったり、骨のサイズや重さ、海水中の浮力などを測りました。
それと平行して、骨と同じくらいの大きさの丸太も同数用意しました。
丸太も植物つまりは有機物ですから、深海に沈めば誰かが利用するかも知れません。
フレッシュな生肉付きの骨を大量にさばく船のようすは、さながら精肉工場のようでした。
懐かしい・・・ 学生の頃、ソーセージ工場で働いたことを思い出しました。

[きょうの写真]
上/上縄で縛られた鯨骨
下/積み上げられた丸太

(C)JAMSTEC (C)JAMSTEC

(C)JAMSTEC (C)JAMSTEC


海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT08-12 「なつしま/ハイパードルフィン」による沖縄トラフ 深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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