本日がビームトロール操業の最終日です。
朝から夕方まで立て続けに4回の採集をおこないました。
いずれも水深 370~ 700mの比較的浅い場所であったことが幸いしてか、比較的「復活の見込みのある」生物が多かったように思います。
とはいえ、魚類は魚体のスレや水圧の変化でやられているものが多かったので、狙うのは甲殻類や貝類がメインとなりました。
今回の調査ではさまざまなコシオリエビが採集され、驚かせてくれました。
橙色が鮮やかなチュウコシオリエビが最も多かったのですが、体が半透明のワインレッドをした美しいコシオリや、白と赤の霜降り状のコシオリ、白い角を持ったコシオリなどです。
私の場合、何とも贅沢なことにゴエモンコシオリエビやらユノハナガニといった熱水噴出孔の種に見慣れているため、普通の海底にトコトコといる種を珍しく感じてしまうようです。
さらに、個人的に注目したのはイソギンチャクの仲間です。「フウセンイソギンチャク」という仲間が多く採集されました。その名の通り、刺激を与えると体を水風船のように膨らまし、スーパーボールくらいの硬さに丸まってしまうのです。
場所によっては大量にとれ、網の中が「ウズラの卵だらけ」のようになっていた回もありました。
たくさんいるのでありがたみがありませんが、はっきりいって面白いです。
今回はどなたの研究対象にもなっていなかったため、気兼ねなく採集することができました。
さて、我々にはまだ大仕事が残っています。
これらの生物を生かしたまま、1270kmの道のりを戻るという仕事です。生物と私たちの無事を祈願しつつ、今回の日誌を締めたいと思います。
これまでお読みいただいたみなさま、ありがとうございます。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。