きのうの荒れた海はどこへやら。朝目覚めたら、すっかり大人しい海に変わっていました。
空が青く、風を切って進む船の上はすがすがしいです。
しかし、事件は深夜に起きていました。
昨晩の揺れはベットから転げ落ちそうなくらい、すさまじいものだったのです。
何度も航海に出ている根本トリーターも、こんなに揺れたのは初めてだといっていました。
なつしまには、わたしたちが飼育業務をするための「コンテナラボ」という部屋があります。
この中に低温室(大きな冷蔵庫みたいなものです。)があって、ここに水槽を並べてハイパードルフィンで採集してきた深海生物の飼育をおこなっています。
昨晩、あまりの揺れのすごさに水槽が心配になり、何度もコンテナラボを覗きに行っていました。
案の定、揺れで水が減ったり、ホースが外れてろ過装置が止まってしまった箇所が見られたので、応急処置としてそれらの水槽の生物はほかの安全そうな水槽に移動して、夜中に事故が起きないようにと危険そうな機械は止めて、わたしは寝室へ戻りました。
そのあとです。
根本トリーターも風呂にはいったあと、寝る前に見ておこうとコンテナラボに立ち寄ったそうです。
そうしたら!
水槽が乗っかっている棚が・・・
倒れてきたのです!
根本トリーターの必死の対応で大惨事は免れました。
しかし、彼があのタイミングで行っていなかったら、とおもうと末恐ろしいです。
このようなことも起こるのだと、徹底した万全の対応の重要さを身をもって痛感しました。
予定が早まって、あすの早朝には次の目的地「日光海山」に到着します。
万全の体勢であすの潜航に備えます!
[きょうの写真]
コンテナラボ
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT09-05「なつしま/ハイパードルフィン」による伊豆 小笠原弧 明神海丘・北マリアナ諸島海域 日光海山 深海生物調査航海
新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。