2010年04月21日

南西諸島海溝(2)No.2 潜航開始!!

  • 期間:2010年4月21日~5月5日
  • 場所:南西諸島海溝
  • 目的:深海生物調査
  • 担当:根本


第一日目の潜航が始まりました!
調査海域は沖縄南方沖、水深は500m。天気も良好。
ここの海底には過去の調査で設置した木や動物の骨が沈んでいて、この調査でその設置物の観察と回収をおこないます。
予想では生物が集まり特殊な生態系が出来あがっているはずですが、はたしてその特殊な生態系は再現できているのでしょうか!?
そしてどんな生き物が現れるのか!?
とても楽しみです!

無人探査機ハイパードルフィンが支援母船「なつしま」から下ろされ潜っていくと、20℃以上あった水温は徐々に下がり、海底に着くころには 10℃まで下がっていきます。
潜り始めて数十分後、海底が見え始めます。
ゆっくり海底に降りると、海底は舞い上がるほど細かな砂が果てしなく覆う砂漠のような景色でした。
子供の頃に図鑑で見た深海のスケッチそのままの景色。まさに「海の砂漠」といった感じです。
ただスケッチと違うのは魚が多いことです。
何かの稚魚のような小さな魚の群が現れたり、背びれに角が生えたツノザメや銀色の体に口ヒゲを生やしたギンメダイ、ニョロニョロとしたヒレジロアナゴやぬぼーっとしたソコダラの仲間が、岩一つない殺風景な海底の風景を彩っています。
見た目には何もなさそうですが、餌が割合豊富なのでしょうか??

着底後、ソナーを頼りに設置物を探しにいきます。
船から投げ入れたので見つかるか心配されていましたが、ソナーに反応が無い中、ハイパードルフィンの運航チームが、ほぼ目視であっという間に発見してしまいました。
明るいライトに照らされ、木と骨が現れると、そこには体長10cmほどの肌色っぽい色のエビが群がっていました。
目の後ろの 3本の筋と腹部の背面に特徴的な曲がったトゲを持つこの独特のフォルム、ミノエビです。
骨にまとわりついて何か食べているらしいようす。
そして物陰に隠れるようにして、チラチラと顔を出し入れしてようすをうかがっているヒレジロアナゴ。
設置物は餌や隠れ家として大活躍しているようす。砂漠にぽつんとあるオアシスの様です。
問題の特殊な生態系を示すような特殊な生物の調査は、回収して船の上で観察をおこなってみないと何ともいえませんが、期待が持てそうなようすです。

設置物の周辺で水や砂を採集し、設置物を回収後、何種類か生物を採集し作業は終了。
探査機を船に引き揚げ採集した生物を見るとみんなとっても元気!きっと現場の水温が 12℃とわりと温かく、水深が 500mとわりと浅いので引き揚げた時のダメージが少ないのでしょうね!
エビもすくうとピチピチ跳ね元気抜群です!
急いで船の上に設置した水槽にバケツで移している途中、エビが「ビチ!」と跳ね、バケツの外に!!
床で跳ねるミノエビを慌てて拾い上げて水槽に入れると、水に入れた瞬間エビの口から青い光の煙が!!
「おー!!これがミノエビの得意技の光の煙幕なのかっ!!」
ミノエビは口から青い光を出すとは聞いていましたが、見たのは初めてでした。
青と水色の中間のような青い煙。蛍光灯の光の中でもはっきりと見えるほど強烈なものでした。
きっと深海の真っ暗な世界では、強烈な光となって敵の目をくらませるのでしょうね!
そんな感動の中、潜航1日目は過ぎて行きました。

[きょうの写真]
上/無人探査機着水準備
中/先行直前の無人探査機
下/跳ねたミノエビの仲間

(C)JAMSTEC(C)JAMSTEC

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海洋研究開発機構(JAMSTEC)NT10-07「なつしま/ハイパードルフィン」による南西諸島海溝深海生物調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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