11月9日午前7時、予定の調査をすべて終えた豊潮丸は、呉の基地に帰還すべく、宇野港を出港しました。
呉港への入港予定到着時刻は午後4時です。
回航中、10時からは全員で甲板の掃除を行いました。
デッキブラシで砂や泥を流し、作業中着用したライフジャケットや長靴も洗います。
ライフジャケットをロープに干し、これが万国旗のように風にはためくようすはとても爽快です。
終わったぞ、という達成感も感じ・・・たいところですが、水族館屋はそうはいきません。
「採集」の次には、出張採集による作業の胆となる「輸送」という、重大な任務があるのです。
添付の画像を見ていただくと、風にはためくレスキューオレンジの下に、丸い青いものが写っているのがおわかりかと思います。
持参した円形組み立て水槽です。
狭い袋の中への密閉時間を少しでも短くするため、ヒクラゲはまだこの中を泳いでいるのです。
1匹しかいない貴重なヒクラゲの生体。
どうか無事でついてくれ、と祈りを込めてパッキングしました。
その後水槽の排水と片付け、その他の器材の梱包をバタバタとおこない、呉港入港ギリギリで、自分の荷物をまとめ終わりました。
船上での作業は、これでようやく終了です。
下船後、すぐに宅配便屋さんへ行き、“えのすい”への発送手続きをおこない、これでやっと、出張先でのミッションがすべて終わりました。
とりあえず一息つきましたが、“えのすい”でもう一度無事な姿を見るまでは、ココロはまだ緊張状態です。
11月11日午後2時半。
クール便にてヒクラゲ到着。
ビニール袋の中で拍動するようすを確認して、ほっとすると同時に、予備槽に収容しました。
きょうの閉館後、展示水槽への引っ越しをおこないます。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
広島大学「豊潮丸」よる大型クラゲ類及びアミ類の分布調査航海