2012年10月23日

豊潮丸~有明海(3)10月22日 有明海最終日

  • 期間:2012年10月20日~2012年10月22日
  • 場所:有明海
  • 目的:ビゼンクラゲ採集
  • 担当:足立


翌日も、水質調査隊を横目に作業艇に乗り込み、同様の採集を試みましたが、1日目に比べてやや潮が速く、波もあり、2個体採集して断念しました。
少し先を、クラゲ採集船とみられる漁師さんの船が通ってゆきました(画像14)。

熊本県立大学チームの24時間観測終了後、ドレッジとそりネットによる底生生物の採集をおこないました。
ようやく出番の北大・国立科学博・北九州自然史博の方々は、ここからが本領発揮(画像15)で、何が採れているのか興味津々でしたが、残念ながら私はこのあたりタイムリミット。荷物をまとめ、下船の準備に入りました。

今回、私は大きな目的として、

1.ビゼンクラゲのポリプを確保すること、
2.有明海のビゼンクラゲの生態の確認、
3.輸送の可能性を探ること

を考えていました。

同じ大型クラゲのエチゼンクラゲで経験があったので、少しは慣れていたつもりが、所も品も変われば勝手も違い、残念ながら今回はどれも目的完全達成には至らず、さまざまな今後の課題を次回のチャンスまで持ち越してしまいました。

食用クラゲの中で最も高級品とされているのが、このビゼンクラゲです。
現地で「アカクラゲ」と呼ばれるこのタイプは、ほぼ有明海特産で、私も野生の状況を初めて見ることができました。
今回ポリプを入手し、繁殖体制を作りたかったのですが、今後の課題として、ぜひ再挑戦したいと思います。
併せて、優雅に泳いでいる水中映像も記録し、紹介したいと思います。

作業をしながら、このクラゲに触りながら実感したことですが、ビゼンクラゲの触感はミズクラゲや、タコクラゲ、またエチゼンクラゲなどと比較して、肉質が緻密で硬い感じでした。
この特性が、長い工程を経て食材として加工された後も、ほどよい歯ごたえとして残り、高値で取引されるのだと思いました。

余談ですが、一時船のトイレの水が流れなくなるという事態が発生しました。
その原因が、実験・測定後に解体して海に返していたビゼンクラゲの破片が、船の海水取水口に吸い込まれて詰まったためと判り、「クラゲは取水口を詰まらせる」ということを、改めて納得させられた次第です。

画像14 クラゲ採集船?画像14 クラゲ採集船?

画像15 生物拾い出し画像15 生物拾い出し

画像16 熊本港で下船 居残り組みとのお別れ画像16 熊本港で下船 居残り組みとのお別れ

画像17 豊潮丸出港 お見送り画像17 豊潮丸出港 お見送り


広島大学「豊潮丸」よるビゼンクラゲ調査採集

クラゲファンタジーホール

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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