みなさま、こんにちは。
今月は採集によく出かけています。目的の一つはクラゲの採集、そしてもう一つは、9月からのテーマ水槽「えのすいの研究最前線」に向けての生物と写真などの素材収集です。
過去現在に研究をおこなったフィールドに再度足を運びます。
1回目は、6月にも訪問した青森県の姉沼です。このたび2度目です。
作業内容については、これまでとほぼ同じ。漁師さんに獲ってもらった魚を持ち帰って、飼育しながら観察します。
前回、あんまり魚の話をしなかったので、ここらでまとめて。
今回はワカサギが大漁!これから秋口にかけてシーズンで、冬になれば水面に氷が張ってご存じ「穴釣り」の対象となります。
ただ、飼育の面からはたいへん弱く、生かして持ち帰ることはできませんでした。いつか飼育もしてみたい種です。
大きく目立つのがウグイです。関東でも見られるザ・中流の魚ですね。
姿は平凡な感じですが、塩分の変化に強く、海域で見つかることもある特殊なコイの仲間です。
本種が繁殖期に見せるオレンジ色は、タナゴやオイカワとも違う、独特な美しさですが、平時の銀一色の細かな鱗もうっとりします。
これはタナゴ。正式名称(標準和名)「タナゴ」です。
貝に卵を産む魚であり、イシガイ類とは一蓮托生。
本種は、西日本に多い日本産タナゴ類の中でも分布が特殊で、太平洋側の関東から本州最北端に取り残されるように分布します。現生の日本産淡水魚の中で、最も古い時代に入ってきて、長い年月をかけて日本の最果てまで入り込んだのでしょうか。
タナゴの中ではマイナーな存在です。
さらに、おなじみモツゴです。
見てくださいこのいぶし銀の婚姻色。モツゴの印象がガラッと変わる瞬間です。
水槽内では見られない、野外ならではの美しさを堪能できるのも、フィールド調査の魅力です。
最後にジュズカケハゼです。
小型の「浮き鮴(ごり)」です。本家ウキゴリは成長するとハゼらしく物陰に潜むようになりますが、本種はふらふら結構泳ぐため、定置網にどっさり入ります。本種の佃煮はワカサギに負けず、美味しいのです。
姉沼とその下流側にある小川原湖の魚介類は地元の特産品になっており、地元での消費はもちろん、観光のお土産にも大人気なのです。
絶滅危惧種の貝が状態よく生息する湖沼ですから、そこで育つ生物も健全でとても美味しいのも頷けます。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。