2014年04月04日

相模湾初島沖(3)相模湾・初島沖調査航海 3日目/杉村

  • 期間:2014年4月2日~4月8日
  • 場所:相模湾 初島沖
  • 目的:相模湾深海生物調査
  • 担当:杉村・冨永
「なつしま」から見た「よこすか」「なつしま」から見た「よこすか」


みなさん!こんにちは!トリーターの杉村です。
3日目は私が航海日誌を担当します。
冨永トリーターの日誌はどうでしたか?
初の調査航海で意気揚々でしたが、今回は気の毒にかなり海の荒れている航海ですので、初日からつらそうでした。
そんな中でも、頑張って2日間日誌を書いてくれました。
あまり船に酔わない私でも、水槽の準備など細かい作業の後はちょっとつらかったです。

・・・前置きはさておき・・・
今回の調査航海は、昨年4月からちょうど1年ぶりの相模湾の航海です。
相模湾・初島沖といえば・・・ そうシロウリガイの調査航海ですね。
初島沖の深海について、ちょっとおさらいです。

初島沖は大陸のプレートに海洋のプレートが潜り込んでいる場所でもあり、水深 850~ 900mの海底に泥の堆積した湧水域があります。
湧水域は、潜り込んだプレートの上に堆積物が溜まり地下からメタンや硫化水素がジワジワと湧き出てくる場所のことです。
そんな場所には、硫化水素をエネルギー源として生活しているシロウリガイの仲間やハオリムシの仲間が生活しています。
その他には、オハラエビやゲンゲの仲間が見られるところでもあります。

初島沖の調査航海の時は、夜間は毎回伊東沖に停泊します。
波も穏やかでとても快適です。
ですが今朝は風が強く、調査海域の初島へ近づくにつれ波も高くなっていきました。
そんな中、海上を見るとなんと・・・「よこすか」が・・・。
「よこすか」といえば、しんかい6500の母船ですね。
未確認情報では、しんかい6500の年度初めの試験航海らしい・・・
ばっちり、カメラに納めましたので見てください。
ちょっと得した気分です。

風が強かったこともあり、予定より2時間ほど遅れての潜航です。
海底に着くと泥と岩の海底がつづきます。
岩の上にはカサゴの仲間やアナゴの仲間、水中にはクラゲの仲間が姿を見せてくれました。
崖を上がるようにしばらく航行していくと、巨大なシロウリガイのコロニーが見え始めます。
湧水といっても、湧き水のようにボコボコとガスが湧き出ているわけではないので、場所を探すのは大変です。
荒涼とした海底によく目立つシロウリガイの白い殻が頼りです。
毎回、巨大なコロニーを見るたびに相模湾の自然の豊かさに驚きます。
コロニーには、大小さまざまなシロウリガイが泥の中から殻や赤い水管(アサリの殻から突き出ている2本の管のこと)を出しています。
その上を時折、甲羅のサイズが 15cmほどあるエゾイバラガニがゆっくり歩いています。
死んだり、弱った貝でも探しているのでしょう。

今回どんな調査をしているかは詳しくお話しできませんが、“えのすい”ではこのシロウリガイの長期飼育に関する技術開発をJAMSTECと共同でおこなっています。
その成果として、非常に飼育の難しいシロウリガイを150日間以上飼育できています。
長期飼育をおこなうために、彼らにとってどんな条件下での飼育が理想的なのかを調べるために、“えのすい”では、調査航海に参加させてもらいながら日々研究を続けています。
私たち飼育の専門家と研究者のみなさんとが手を組むことで、生物研究の発展に繋がればと思っています。

久しぶりの調査航海で、ちょっと日誌が長くなってしまいました。
おお、日付が変わってしまいました。
さてさて、きょうはこの辺で・・・。


揺れに耐えながら頑張る冨永トリーター


JAMSTEC(海洋研究開発機構)NT14-05「なつしま/ハイパードルフィン」による相模湾初島沖調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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