2014年09月01日

青森県・姉沼(1)ここらでおさらい、姉沼の貝

  • 期間:2014年9月1日~2014年9月3日
  • 場所:青森県東北町・姉沼
  • 目的:沼の生物の調査・研究
  • 担当:伊藤
駅にて。姉沼の位置はここ駅にて。姉沼の位置はここ


みなさまこんにちは。夏休みいかがお過ごしだったでしょうか。
私はといえば、担当の8月のテーマ水槽が閉幕するやいなや、青森へ飛んでいます。
恒例となりました北里大学獣医学部との共同研究です。今回もそのようすをお届けします。

調査現場である姉沼は青森県東部、シジミやシラウオで有名な小川原湖の上流に位置する小さな沼です。
今回は終始、フィールド調査の予定です。
日があるうちは、昼食以外、ずーっと沼の上で立ちんぼ作業となります。とはいえ、浮力があるためか、アドレナリンが出ているためか、思ったより疲れにくいです。
まず、園芸ポールを4本、正方形になるように水底に突き刺し、その内側を調査区とします。水温や溶存酸素濃度を専用機器で測ってから、区内の泥を掘りまくり、中にいる貝をピックアップしていきます。
網やジョレンを水底に突き立てるたびに、ゴロゴロと巨大な二枚貝が姿を現します。
何度経験しても衝撃的!
夏の業務で疲れた頭が、さらさらと洗われるのを感じます。
ここで、初めて日誌を読まれる方に、生息する貝を簡単に紹介しましょう。

イケチョウガイ
20cm越えは当たり前!の超巨大二枚貝。
貝殻は分厚く頑丈で、ゴリラっぽい?イメージ。
本来は琵琶湖だけにすむ種ですが、何十年も前に移植放流された貝の子孫がここで大繁栄しています。


たらい一杯のイケチョウガイ

絶滅危惧種であり、国内外来種でもあるという絶妙な立ち位置なのですが、ここで本種の生態を解明すれば、琵琶湖での生息数復活や種の保存に繋げられるはずです。

カラスガイ
こちらも世界最大級の淡水二枚貝です。
カラスガイという呼び名は、淡水二枚貝の総称として比較的よく用いられていますが、本物の本種の生息地は思いのほか少なく、生態に謎の多い種の一つです。
その名に反して若い個体は美しく、惚れ惚れするマラカイト色の筋模様が一見の価値ありです。


意外と繊細な美しさ。大小さまざまのカラスガイ。

ヨコハマシジラガイ
この沼ではシジミに次いで小型の二枚貝です。
生息数は大変多く、ありがたみをあまり感じない「その他大勢」キャラです。
しかし、一歩県外へ出れば、本種も大変希少になります。横浜の名を持つ種でありながら、神奈川県ではもう 1~ 2か所に細々と残るのみです。
何気に、姉沼でも 3cm以下の幼貝が 1つも得られていない手ごわい相手です。


飼うと一番デリケートな曲者。ヨコハマシジラガイ

ドブガイ類
姉沼にはよく似たタガイ、ヌマガイ、フネドブガイの 3種が生息します。
大型個体は多くありませんが、当地で最も多く幼稚貝が採集されている種群であり、稚貝の育成研究の中心にある存在です。

これらが、私たちの調査の中心となる貝です。
指導教官の柿野先生はもちろん、学生たちも半年近く貝を扱う生活をしているだけあって、貝への愛着と知識を深めているようすです。
それらに関しては、2話目から紹介していきます。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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