2018年04月06日

伊豆諸島海域調査航海(4)航海日誌 4日目(最終日)
AM 6:00、ここは東京湾?!

  • 期間:2018年4月3日~4月6日
  • 場所:伊豆・小笠原弧
  • 目的:伊豆諸島海域の海丘内熱水域生物群集の栄養生態と代謝の解明
  • 担当:杉村
東京湾に到着東京湾に到着


4月5日 18:00、ハイパードルフィン(HPD)の潜航調査終了、揚収後、本船「新青丸」は走り出していました。
調査海域の天候が悪化するとの予報のため、早めにこの海域から離脱しました。
初日の航行と同じように、船底が海面の白波を叩く音が響きます。
初日より少々激しい感じでした。
船が揺れるたびに水槽の中の水も大きく左右にチャプン、チャプンと動きます。
サンプリングした生物たちが心配で、時折研究室にセットした水槽の中を覗いてはホッとする夜を過ごしました。

そしてきょう、朝になってみれば既に東京湾でした。
研究室から外の甲板へ出てみると、海上に大型タンカー、遠くにはうっすらと房総半島の山々が見えました。
早いですね、一晩で小笠原から 200kmほどを走ったんですね!!
それでも東京湾の風は強く、新青丸はゆったりと大きく揺れてました。

船内では、東京湾まで逃げてきたものの JAMSTECに着岸できるかどうか、はっきりしない状況でした。
研究者のみなさんも、下船できるのかどうか情報待っていました。
私もサンプリングした生物を、出来ることなら早く研究用に環境の整った水槽に移したいと思っていましたが、なかなか状況が定まりません。
そんな中、キャプテンの決断のおかげもあり、新青丸は JAMSTECに着岸するとの情報が船内に流れました。
直ぐさま、水族館へ連絡をして生物だけでも搬送してもらうことができました。

私はというと、船内の水槽の片付けや一緒に乗船している研究者の方との実験や他のサンプルの処理のため、もう一晩船に残ることになりました。

今回の伊豆・小笠原海域の調査航海は、天候の悪化から日程が半分になってしまい、非常に残念でしたが、自然相手の調査ですから HPDが潜航できなかったり、日程を繰り上げたりといったことはそれほど珍しくは無いことです。
私も過去の調査航海で、2週間海上にいても半日位しか調査ができなかったこともあります。
その時の航海に比べれば、今回は乗り合わせた 2つの研究グループがそれぞれ 1回ずつの潜航調査で、最低限の目的を達することができたことは、とても良かったです。

あすは、朝早くに下船を予定しています。
早く水族館へ戻って、生物たちのようすを見たいです。
そして、あすからは持ち帰った生物たちの飼育研究が始まります。
楽しみでもあり、同時に研究へのプレッシャーを感じます。

研究のようすなどをトリーター日誌で、また伝えられたらと思っています。
よろしければ、今後はそちらもチェックしていただければと嬉しいです。
本日まで航海日誌にお付き合いいただき、ありがとうございました。

この場を借りまして、本航海にご一緒させていただいた研究者のみなさん、新青丸の船員のみなさん、ハイパードルフィン運航チームのみなさん、JAMSTECのみなさんに御礼申しあげます。


片づけた飼育道具


夜のJAMSTEC岸壁に停泊する新青丸


本調査は、「東京大学」が東京都から特別採捕の許可を得て行っているものです

JAMSTEC(海洋研究開発機構)KS-18-3 「伊豆諸島海域の海丘内熱水域生物群集の栄養生態と代謝の解明」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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