2020年01月18日

鹿児島湾及び周辺海域調査航海(4)航海日誌4日目

  • 期間:2020年1月15日(水)~1月22日(水)
  • 場所:鹿児島湾及び周辺海域
  • 目的:コノハエビはポンペイワームを超える? ~鹿児島熱水噴出域産コノハエビ類の高温耐性に関する研究
  • 担当:八巻


調査日1日目、石油が眠る熱水湧出域
航海4日目、調査日の1日目がやってきました!
8日間の航海日程のうち、早くも半分が過ぎようとしています。
きょうの天気は幸いの晴れ。関東の方は雪も降ったようですが、こちらはそれほど寒くもなく、絶好の調査日和で、朝焼けの桜島もきれいでした。


朝 8時、最初の潜航が始まります!
ハイパードルフィンが潜航する姿を間近に見るのはとても久しぶりで、懐かしいです。
潜航に携わる「新青丸」乗組員の方々やハイパードルフィン運航チームの方々のチームワークは素晴らしく、いつも調査成功のためベストを尽くしてくださいます。


ハイパードルフィンの潜航中はドライラボでようすを見守ります。
大小のモニターが並び、ハイパードルフィンの搭載カメラの映像や、測定機器の情報をリアルタイムで見ることができるのです。



きょうは鹿児島湾の海底にある熱水湧出域に潜航し、サンプリングや機器の設置をおこないました。
この海域は冬季にかけて溶存酸素濃度(海水に溶け込んでいる酸素の量)がとても低くなることで知られていますので、一般的に生物にとってはとても過酷な環境です。
実際、きょう潜航した海域でもほとんど生物の姿を見ることができませんでした。
唯一見つけたのがこちら、探索を進めていく過程で見えた銀色に光る細長いもの。


近づくと、なんとタチウオでした。


しかし、すでに死んでしまっているようで、もしかしたら間違ってこの海域に迷い込んで、息ができなくなってしまったのかもしれません。


その後、ガスの噴気を伴う熱水湧出域で、岩石や底泥、水を採取し、離底しました。
ハイパードルフィンが船上に上がり、サンプルを受け取ると、嗅いだことのない不思議なにおいがしました。
同乗している研究者の方によると、「石油のにおい」だそうです。
実際、サンプルの入った水の水面には油が浮いていました。


実はこの海域の海底下には石油が眠っていて、その埋蔵量は日本全体で消費される石油量の3日分にも相当するそうです。
石油は有機物を含む堆積物が何らかの熱源によって温められることでできます。この海域では火山活動による熱源が堆積物中の海水を温めることにより、そこに含まれる植物プランクトンなどの有機物を高温で熟成させ、石油にしているとのことです。
調査航海はさまざまな専門家の方と一緒に乗船できますので、思わぬところから新たな知識を得ることができる貴重な機会だと改めて感じます。

あしたは生物の確認実績のある熱水湧出域へ潜航予定です!


JAMSTEC(海洋研究開発機構)KS-20-2 新青丸/ハイパードルフィン 「コノハエビはポンペイワームを超える? ~鹿児島熱水噴出域産コノハエビ類の高温耐性に関する研究」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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