2022年05月20日

光海丸での相模湾鯨類目視調査

  • 期間:2022年5月20日(金)
  • 場所:相模湾
  • 目的:相模湾・東京湾に来遊する鯨類種特定に関する研究
  • 担当:雨宮


みなさんこんにちは。
フィールド調査チームの鷲見トリーターに同行し、私雨宮と長野トリーターもこの度「光海丸」に乗船させていただき、相模湾の調査をする経験をしてきました。

野生の鯨類はもちろん海の中を泳いでいるので、呼吸をするために水面まであがってきます。
そのときに見える呼吸時に吐く息(ブロウ)や、背びれを頼りに探します。
体が大きなクジラだと数メートル先のブロウは目視できますが、体の小さいイルカなどはなかなか見つけることができません。
ほとんど背びれを頼りに探します。更に種を特定するためには背びれとほんの少しの浮上の際に見える顔や色、形で種類を特定しなければなりません。
そうなると悪天候で視界が悪く、波が立っているとなかなかイルカが近くで泳いでいても見つけることができないことがあります。
今回雲はありましたが天気もよく、波も立っておらず鯨類を探すにはとてもよい海の状況でした。

富戸漁港を出港【9:15】

こちらが乗船した「光海丸」です。
鯨類を見逃さず探すために漁船の右舷(船の右側)と左舷(船の左側)に分かれて手分けして探します。
探すときはまず自分の目で広範囲を見ます。
何か見つけた!!と思った瞬間にスコープを構えて見てみる。という方法で探します。

出港から 25分後【9:40】
前方に黒い影が見える!!!
と、思いきや黒いものが空中に飛び立ちました。

大型の野鳥です!
近くでみると前長 60~ 70cmくらいの大きさでかなり大きく迫力がありました。

出港から 47分後【10:02】
遠の方で何か見える!!
これは期待!

と、思いきや、
今度は流木でした、、、

出港から 1時間 57分後【11:12】
あれ!?!?
背びれが見える!!!
4~ 5頭のハナゴンドウの群れを発見!!
しかし、見つけた直後すぐに潜って姿を消してしまい撮影には至りませんでした。
浮上してくるのを待ちましたが、泳ぎが早く見失ってしまいました。
もう見れないのかもしれない、、、と思いつつ海を探していると、

出港から 2時間 32分後【11:47】
ついにハナゴンドウの大群と遭遇!!!

船長の石井さんによると 200~ 300頭の群れだそうです!!
群れが広範囲渡って泳いでいました!
写真に収まりきらないほどの数でした。
しっかり位置情報・水温・おおよその頭数を記録します。
写真も動いている船の上から撮影し記録に残します。

このハナゴンドウの群れには親子もいて子どものペースにあわせてゆっくり泳いでいる印象でした。
みなさん、“えのすい”の目の前の相模湾にもこんなにもたくさんの鯨類がいます!


今回の航路はこちらです。
青い丸が富戸漁港、赤い丸がハナゴンドウの大群がいた場所を示しています。

© OpenStreetMap contributors

今回野生の鯨類を見ることができとても貴重な体験となりました。
同時に 3時間漁船に乗り続け、海とにらめっこしながらブロウと背びれを頼りに、鯨類を探すのが難しいことも肌で感じることができました。

これからも相模湾・東京湾の来遊する鯨類を特定するために記録を残し続けていきたいです。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

RSS