2024年07月30日

江の島潜水生物調査
2024年7月 2回目/八巻

  • 期間:2024年7月30日(火)
  • 場所:江の島 鵜島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:八巻・西川


7月も末、完全に真夏です! 準備をしているだけで汗だくになる陽気でした。
きょうは江の島の南磯、鵜島周辺の潜水調査をおこないました。この調査は月に1回以上同じ海域で潜水調査をおこない、江の島の海を年間通して見て感じて、季節変化や生物相を調べ伝えようという目的の活動です。
前回に引き続き、今回の報告も、私 八巻がお送りいたします。

気温は 25℃、水温は 24~28℃ くらいでした。水の中が生暖かいくらいです。そして水は濁りまくっていました。

まず1本目は前回に引き続き、今回もヤギ類の成長量の計測です。
ラベリングしているヤギ類のある現場にたどり着くのはとても難しいですが、今回は西川トリーターのナビで、無事一発でたどり着くことができました。
計測しているヤギは3種類、フトヤギ属の一種、トゲヤギ属の一種、Astrogorgia 属の一種になります。これらは全てこの周辺で頻出する優占種のひとつです。計測も無事終了しました。


フトヤギ属の一種


トゲヤギ属の一種


Astrogorgia 属の一種

ソフトコーラルの成長速度はあまり知られていませんが、今回の江の島のように濁りがあれば餌も豊富にあり、環境要因も大きいと思います。継続して計測することで、季節変化も見られるかもしれません。少なくとも1年間は継続し、状況を把握していきたいです。

 
以降2本目は生物相調査です。
本日見た生き物について、写真を見ながらコメントしていきたいと思います。

アオヤガラ

ときどき見ます。先日見かけた時よりも、大分大きくなった印象です。


ムカデミノウミウシ

こちらも最もよく見る生物の一つです。前回の調査では1cm程の小さなものばかりでしたが、今回は2~3cmはありそうな個体が中心でした。確実に大きくなっているものと思われます。これまでもあまり小さい個体は見かけない印象なので、この時期は育ちざかりなのかもしれません!


グビジンイソギンチャク

なぜか私はこのイソギンチャクが好きです。色彩が変化に富んでとてもきれいなのも、お気に入りの理由です。
今回の個体はあまり見ない抹茶のような緑色と白の個体でした。もっと蛍光に近い緑色だったり、オレンジ色だったりすることもあります。


ホンソメワケベラ

大抵1回は見かけます。海でもクリーナーとして活躍していることがよく分かります。


イセエビ
今回は3個体が同じ岩の割れ目に潜んでいました。ひしめき合うようにこのような大型が群れているとやはり迫力があります。


イシダタミヤドカリ
案外見かけない大きめのヤドカリ類です。


トゲアシガニ
テトラポットの隙間などでもよく見かけます。平べったい体が少し不思議な感じがしますが、割れ目で生活に適しているのがよくわかります。


サザナミヤッコ幼魚
季節来遊魚(死滅回遊魚)として見られるサザナミヤッコです。ぐるぐる巻いた模様がかわいいです。


リュウモンイロウミウシ
今回初めて見ました。本州では初夏から秋にかけて普通にいる種のようですが、これまで観察したことはありませんでした。白い体に青い曲線模様がかっこいいです!


クサフグ稚魚
今回もとても大きな群れで見かけました。5月頃に生まれたと思われる群れ、前回より大きくなっていましたね。


アンドンクラゲ
早くも夏の終わりの風物詩、アンドンクラゲがたくさんいまいた。
エントリーとイクジットはアンドンクラゲに当たらないよう、十分に気を付けておこないました。


アミ類
前回に引き続き大量のアミ類がいました。これら動物プランクトンが、今まさに大きくなっている最中の稚魚を支えていると思うと、生態系という流れを肌で感じます。


キンギョハナダイ
いつも観察している鵜島周辺の 5~10mほどの水深では、ときどきクロホシイシモチなどの群れに交じって1匹でいる姿を見かけます。


ミヤコウミウシ
よく見かけるウミウシのひとつです。茶色い体に青い斑点が映えていて、とても美しいです。


ハナウミヒドラ
まるで季節外れの桜や桃が咲いているかのようなきれいな写真が撮れました!
ヒドロ虫と呼ばれるクラゲの一種の底性世代です。


スザクサラサエビ
ときどき暗めの隙間に群れています。サラサエビとどちらかなぁと思いましたが、角度の写真から判断するに、スザクサクラエビのようです。


このように一度の調査で生物の大きさや成長段階、ようす、水温はもちろん水の濁りなどからも季節を感じられるようになってきました。
地元の海を知るという目的で続けている潜水調査の成果だと思っています。
今後もより身近な海に感じられるよう、調査を続けていきます。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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