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研究発表

バンドウイルカの新生子への給餌開始プロセスの試み

2015年10月  第41回 海獣技術者研究会(日本動物園水族館協会)
櫻木 徹 他



バンドウイルカの新生子への給餌開始プロセスの試み

櫻木 徹 ・ 大下 勲 ・ 秋山 大志
新江ノ島水族館

[要旨] 江の島水族館及び新江ノ島水族館で繁殖したバンドウイルカ Tursiops truncatus の飼育において,2011年以前は子獣に対してトレーナが関与を開始する時期を定めず,育児は母獣に任せていた.子獣の健康管理上,早期に給餌調整を開始する目的で,摂餌を促すトレーニングを実施した.トレーニングの対象とした個体は,2012年以降に生まれた2個体(呼称サワ,雌,国内登録番号1263 ならびに呼称ミル,雌,国内登録番号1343)とした.トレーニングの手順は,第1段階として,出生翌日からトレーナによる積極的な接触を試み,トレーナーの前に寄る行動を形成させるまでとした.第2段階として,鋳型法でステイションを形成し,同時に吻先への接触を増やして開口を促した.第3段階として,開口した際に口内へ接触刺激を与え,同時に給餌も開始.魚を咥えさせ摂餌を促した.結果,第1段階では,母獣の傍に来た子獣に触れることから始め,偶発的な接触から子獣に触れる頻度が増加し,接触という刺激により,子獣からトレーナーへの接近も増加した.第2段階では,吻先への接触刺激によりサワが44日齢,ミルが 71日齢で自発的な開口が確認された.第3段階では,プールに落ちている魚片を追う行動も認められ,魚を咀嚼する頻度が増加し,サワが87日齢,ミルが180日齢で摂餌に至った.この給餌トレーニングにより,2011年以前に出生した個体の自発摂餌開始は平均271日齢(対象14個体)に対し,トレーニングを実施した2個体は個体間の差は認められたものの,2011年以前の個体の平均日数よりも早く摂餌を開始する結果となった.給餌調整により,一次性強化子を用いた受診動作のトレーニングを開始して,1歳未満の段階から健康管理に役立てることができるようになった.

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