2016年11月
平成28年度 関東東北・北海道ブロック水族館技術者研究会 口頭発表(日本動物園水族館協会)
樋口 理紗
イワシとシラスの周知を目的としたイベントの開催について
樋口 理紗
新江ノ島水族館
[要旨] 当館では、2004年の開館当初から大水槽における相模湾の代表魚であるマイワシの群泳の展示に力を入れている。また2014年からは、湘南の名産のひとつであるカタクチイワシの稚魚「シラス」の展示も行っている。地味な魚でありながらイワシの人気は高き、来館者の声を聞いていると、イワシ、シラスそれぞれ単体の認知度は高いが、シラスは何の魚の子なのか、なぜイワシは群れれているのか、餌は何を食べているのかなど生態についての理解度は低い。そこで、10月4日「イワシの日」にイワシとシラスをテーマとした体験型のイベントを開催しており、今年で5回目の開催となる。当イベントでは展示や解説だけでは伝えることが難しい内容を実際の飼育体験を通してさらなる興味をもってもらい、最終的には産地である相模湾について理解を深めてもらう事を目的としている。参加者はホームページやSNSで募り、マイワシとシラスの展示水槽の解説、大水槽のマイワシの給餌体験、バックヤード飼育水槽の見学、シオミズツボワムシのカウント体験、卵や孵化仔魚の観察などを体験した後、座学でイワシの分類や飼育について学ぶ。
湘南の名物でもあるシラスの注目度は高く、年々応募者は増加しており、抽選を行う年もあるほどで、人気は衰えない。イベント終了後の声やSNSでのコメントによれば、イワシやシラスへの興味を深めた参加者も増えており、今後も引き続きイベント開催の必要性を感じている。
今回は、当館でこれまで実施した「イワシの日」のイベントの概要を紹介し、水族館でのイベントの在り方について考察した。